死んだ人のことを悪くいう人がいないように辞任する首相のことを悪くいう人はやっぱりいなかった。誰でも「死人に鞭を打つ」のは気持ちのいいものではないが、辞任会見の安倍さんの爽やかで吹っ切れたような表情を見せられた上に「これからも政界に影響力を残したい」などという発言を聞くと、この人はどこまで恥知らずなんだろうと呆れて開いた口が塞がらない。

それにしてもお腹が痛くなって急に辞めるのは2回目だ。よく知らないが、今回も多くの人に迷惑をかけているはずだが、ボクに言わせれば「遅すぎる辞任」だった。本人は「自分がやらなければ誰がやる」という意気込みだったのかもしれないが、今の国会議員や総理大臣など誰がやっても大して変わらないと思っている。変わるのは本人がどれだけずる賢く立ち回れるかだけだ。

安倍さんも、7年という長すぎた任期の間に、あれもこれもやって成果を出したというが、そもそもアベノミクスという経済対策は結局のところ金融緩和でしかない。誰でも思いつくアタリマエの政策だ。日銀を懐柔して意のままに操ってきたつもりかもしれないが、黒田総裁という肝っ玉の小さな男だったからわがままが通ったに過ぎない。

北方領土問題では、ロシアのプーチン大統領と24回も会談して日本は多くの点で譲歩してきたにも関わらず、ロシアに憲法改正を押し切られて実質的に北方領土が返還される可能性はなくなってしまった。これが外交の成果だというなら成果の出ない外交とは何だと思っているのだろう。

北朝鮮の拉致被害者問題では「全力を尽くしてやることはすべてやる」と言っていたが、結局、アメリカのトランプに電話で”お願い”しただけで、金正恩とは一度も会えずじまいだった。彼にとってはトランプに電話することができることのすべてだったのだろう。

中国は一帯一路の名の下に世界中で金をばらまいて一定の地盤を築いたが、日本は何もできなかった。その上、尖閣や南シナ海では中国がやりたい放題に暴れているが、これまたアメリカ頼みだ。東アジアの安全保障問題は日本にとって「今そこにある危機」だということにいつまでも目を瞑っていた結果が今の問題につながっている。つまり”地球儀を俯瞰した”外交政策はことごとく失敗した。

結局のところ残したのは、「森かけ問題」の政治不信とアホな嫁の悪評、そしてなんに役にも立たず500億円の無駄遣いになった「アベノマスク」だけだ。こんな政権を許し続けたのは、何か問題があっても3ヶ月もするとすぐに忘れてしまう日本国民だ。アメリカ人も相当に頭が悪いと思っているが、日本人もそれに輪をかけて愚かだ。でもそんなことは誰も言わない。

彼がそれでもまだ国会議員を続けたいというのなら、今度はお腹が痛くなる前にきちんと落とし前をつけてもらいたいものである。