元AKBの高橋みなみさんがテレビに出ていた。AKB関係にはあまり詳しくないボクだが、彼女がAKBの初代総監督だったことくらいはなんとなく知っている。AKBの総監督がどんな仕事をしてどういう立ち位置にいたのかはわからないが、そんな肩書きをつけられたら誰もが彼女がリーダーで責任者だと思うだろう。

人前で話す時にはどうしたって”リーダー”に目が向くし、グループを代表した意見や見解を求められる。だから現役時代には突然大勢の前でリーダーとしての決断を迫られることもあったという。

もちろん彼女はグループのリーダーだったかもしれないが経営者でもなければ社長ではない。自分の権限の及ばないことを待ったなしでどこまで発言していいものか悩むことも多かったという。

自分が責任者でもないのにいきなり決断を迫られて独断で決めなければいけないとしたらどうだろう。リーダーであれば何も言わないわけにはいかない。無責任な総理大臣や国会議員とは違う。そしてそこで決断して口にしたことを後から陰で否定されることもあったという。

周りにいてみんなの前で口にした決断だけを聞いていた人は、そんな事情は知らないから「あの人は口ばっかりで何もやらないじゃないか」と非難する。リーダーになってしまった人の宿命だ。

それなら責任者が逃げ回っていないで、最初からみんなの前に出てきて自分で決断してくれればいいものだが、陰の責任者は自分の責任にされることを極度に恐れるから”かりそめのリーダー”を立ててスケープゴート(生け贄)にする。生け贄が叩かれないか賞賛されたらそこで自分が出て行って手柄を横取りすればいい。

一頃、リストラの嵐吹き荒れていた頃には「名ばかり管理職」というものが大流行した。権限も権力も何も与えられていないのに責任だけを押し付けられて、管理職の名の下に残業代がカットされ役職手当もつかない。体のいいコストダウンだ。社員をコストだとしか思っていない経営者は大抵そんなやり方をする。そして1番のコストになっているお友達の役員や管理職だけが後ろから手柄を横取りしようと虎視眈々と狙っている。

そんな組織の中にいたら誰だって人間不信になる。でもいいじゃないか、そんな人間でも「あいつはオレがいたから偉くなれたんだ」と心の中で胸を張っていればいい。お金持ちになって権力者になってみんなから嫌われるだけが人生の成功ではない。「あいつはバカだよ」と言われても、清く正しく美しい生き方を貫くことだって一つの幸せだと思っている。