コロナ禍で売上が激減して従業員の解雇に踏み切る企業も多いらしい。売上が下がれば利益もなくなる。利益がなくなれば給料も払えない。だから解雇せざるを得ない事情はわかりすぎるほどわかる。この状態がいつまで続くのかがある程度予測できるのならその時まで従業員を温存したまま生き残る方策を考えるという方法もある。

たとえコロナがある程度収束したとしても、その時に立ち直っていくための人材を失ってしまったらすぐには再開できなくなる。人材を育てるには10年も15年もかかる。それまで待てるだろうか。

だからコロナで苦しくてもできるだけ従業員を解雇してはいけない。もっとも会社が店が潰れてしまっては意味がないが、これは社会インフラとしての企業を守れなかった国や自治体の責任だ。企業も潰れてしまったら再建するためには、それまでの信用や従業員の持つ技術を取り戻すためにかかる莫大な費用と労力は計り知れない。それでも再建できるならまだマシだ。

ほんの少しの給付金を申し訳程度にケチケチとバラまいて「俺はやったぜ!」なんて大きな声で叫んでいるリーダーなどもはや必要ない。奴らは自分の利権と権力を守ることしか考えていない。そもそも修正予算に計上した100兆円の使い道はいまだに明らかにしていない。こんな政府に恩義など感じるわけがない。

以前にも書いたがリゾート運営会社の星野リゾートは「星野リゾートが倒産する確率」を全社員と共有した。会社が自ら弱さを見せることで、社員は「自分に何ができるか」を考え始める。もちろん会社への信頼があってのことだが、星野リゾートという会社は経営破綻した旅館やリゾートを立ち直らせることで成功してきた会社だ。従業員は以前の勤め先で一度は辛酸を舐めさせられている。星野には恩義がある。

そんな従業員をみすみす手放してしまうのは会社にとっても大きな損失だ。借りたお金は銀行に返せばそれで終わりだが、一度解雇してしまった従業員が前のように会社を信頼して仕事をしてくれるかどうかわからない。だから企業は人材を失ってしまうくらいなら借りられるものは全部借りて会社を守らなければいけない。会社とは冷淡な株主のことではない。一緒に働いてくれる仲間である従業員だ。

ただ企業はコロナ禍だと言って黙って身を低く(経費を削減)して嵐が通り過ぎるのを待っているだけではいけない。かがんだところから立ち上がるためには体力も今までにやっていなかったやり方にもチャレンジしなくてはダメだ。

マーケティングの基本は馬の売上げを伸ばすことではあるが、今売れているものをもっと売る方法と今は売れていないものや客層を新しくターゲットにする方法がある。そもそもほとんどのサービス業では製造業と違っていくらでも売れる商品はない。

ホテルの部屋には限りがありレストランの席数も限られている。だからお客を平準化するのだ。休日のランチとディナーには行列して店に入れない客がいるのに、平日やピークをちょっと外れた時間帯にはガラガラになってしまう。この時は客室も座席も1円も稼いでいない。つまり機会損失だ。

これを少しでも平準化できれば「密」を防ぐこともできるし売上げだってあげることができる。今ではランチタイムが終わると夕方まで店を閉めてしまうところが多い。「こんな時間に店を開けていても誰もこないから」という理由だろう。それなら客が少ない時間に呼び込む方法を考えたのだろうか。来ないから閉めるというような短絡的なことをしていてはコロナが収束したところで復活することは難しい。