いやな家事の一つだ。特に夏場は暑いので大嫌いだ。何が嫌だといって段取り一つ一つが複雑で面倒な上に、段取りをしくじると取り返しのつかない結果になる。最悪の場合、一度濡らして脱水して干すところからやり直さないと満足いく結果にならないことさえある。もっともボクは大した服を持っていないから多少の失敗には目を瞑ることにしている。

アイロンがけはセッティングが9割だ。アイロン台の上に服をきちんとセッティングさえすればアイロンをかけるのにさほどの技術もコツもいらない。テクニックは必要ないが部位によって何度もセッティングをしてアイロンをかけるのは単純作業とはいえだんだんと嫌になってくる。1着だけならまだしもズボンやシャツ、上着を混ぜ合わせて10着もまとまってしまうと苦痛だ。しかし1着だけだとまたそれまでの準備や後片付けを考えると効率が悪くてうんざりしてしまう。

スチーム用の水を補充してからスイッチを入れる。シワにならないように服を注意深くセッティングし、アイロンの温度が上がっていよいよかけ始めた途端に自動スチームが調子悪いらしく、スチームにならなかった水がスチームが出るはずの穴からそのまま洗濯物にダダ漏れて洗濯物もアイロン台もビチャビチャになる。…、最初からやり直しだ。これだからアイロンがけは嫌いなのだ。

だから最近はアイロンそのものに水を入れず、必要ならその都度霧を吹くようにしている。全自動なんてクソ食らえだ。祖父のやっていた洋服屋のアイロンには手動の手作りスチームマシンが取り付けられていた。手作りだったが必要な時だけボタンを押してスチームを吹くようになっていた。必要もないのに水がダダ漏れてくることもなかった。

シャツなら襟、前身頃、後ろ身頃、肩、袖と複雑に縫製された服にきちんと折り目がつくように微調整しながらセッティングする。ところがキチンと整っていないと生地が重なっている裏側がシワになってしまう。普通にアイロンをかけてもなかなかシワが伸びないのに間違ったシワや折り目は一瞬でついてしまうくせに直そうとしてもなかなか取れないのは不思議だ。

夏場は汗をかくのでいきおい洗濯の回数も多くなる。日本人は下着にアイロンをかけることはないが仕事用のシャツを洗いざらしのまま着ていくにはちょっと気がひける。干して取り込んだ洗濯物が毎日毎日アイロンがかけられないまま積み上がっていく。1週間もサボっているとウンザリするほどのアイロン待ち行列が出来上がる。あ〜、明日こそアイロンをかけようと思うのだが朝のギラギラした猛暑の太陽を見上げるとせっかくの決意も揺らいでしまうのだ。