室内干し臭

先日、NHKの「朝イチ」を見ていたら梅雨入りした関東地方に合わせて「洗濯物の梅雨時の室内干し」について特集していた。僕の住んでいるマンションでは常に「24時間換気」の設定にしているせいかあまり感じたことはないのだが、テレビCMなどでは「干した洗濯物臭が気になる」という話がよく聞かれる。

「室内干し臭」を防ぐには出来るだけ早く乾燥させて雑菌の繁殖を防ぐことが大切なので、どのような干し方をしたら洗濯物が早く乾くのかという実験をしていた。

室内に洗濯物を干す際によく使われるピンチハンガーを使って干す時には、脱水機から出した洗濯物を丈の長いものを両サイドのぶら下げ、中央部分にはハンカチや靴下などの丈の短いものをぶら下げて全体をアーチ型にして干す干し方が一番早く乾くという結果になった。つまり出来るだけ表に出ている表面積を増やして風が当たりやすくすることと、洗濯物同士の密着面を減らすことが大切だというごく当たり前の結果になった。

実はこの特集は何年か前に同じ番組で放送したものの焼き直しなのだが、当時も番組を担当していたMCはそのことを全く覚えていないということも明らかになった。人間の記憶など、特に歳をとれば余計にいい加減になるということを図らずも実証する形になったのだが、それには加齢による記憶力の衰えだけではない他の原因も考えられる。つまり丸暗記はすぐに忘れてしまうということだ。

理由を知らずに何かを丸暗記してもすぐに忘れる。丸暗記といえば代表的なのが歴史の年号と元素周期律表だ。この二つは漢字や英単語の暗記などと違って、普段から日常的に使う機会がほとんどないものだ。覚えたつもりでもテストの本番までの短い時間でさえ覚えていられない。だから苦肉の策として”音やリズムで覚える”方法がよく使われる。歌の歌詞だけを覚えるのは大変でも歌い始めれば口をついて歌詞が出てくるようなものだ。

「鳴くよ(794)ウグイス平安京」や「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」はいまだに覚えているし「645年、大化の改新」もリズムで覚えている。元素周期律表の「水兵リーベ僕の船…」は一般的だが大学受験で主に理科系の科目が多かったボクは口癖から元素名を連想する時間がもったいなくて「水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム…」と元素名を直接暗記していた。それでもいまだに少しは覚えているのには訳がある。それぞれの元素の”性格”と紐づけていたのだ。

元素周期律表は水素から順番に覚えていても重さがわかるくらいでほとんど意味がない。これは縦に性格の似た元素が並んでいるのだ。それは元素がイオンになった時の電子の取れ方の違いだ。イオンにはそれぞれの元素によって電子が飛び出す個数が変わり、+ー1価、2価、3価とそれぞれに決まったイオンになる。それによって化学反応を起こして結びつく元素も変わるのだ。それがわからないと化学反応式がわからない。

以前にも書いたが、ボクは高校時代の恩師・坂五郎先生にそのことを教わった。「ラバストか、馬草ベリベリ」(ラバがストをしたのだろうか、いや馬草をベリベリと食べているのだ)とは坂先生流のアルカリ土類金属(重い方からラジウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、ベリリウム)の覚え方だ。これでアルカリ土類金属(+2価イオン)だということがわかればわざわざ周期律表など暗記する必要はない。

化学の暗記ものの2番手であるイオン化傾向も同じことだ。

K、Ca、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pb、(H)、Cu、Hg、Ag、Pt、Au

ボクはこれも元素の名前で直接覚えたが、つまりは化学反応を起こしやすい順番に元素を並べたものだ。イオン化傾向(化学反応の起こしやすさ)が高ければ不安定な元素だ。最初に挙げられているカリウム(K)は常温金属だが、空気中ではすぐに化学反応を起こしあっという間に錆びてしまう。水の中に入れれば爆発する。だから実験室では金属カリウムは灯油の中に浸して保存している。マグネシウム(Mg)は昔の写真のフラッシュを焚く時に使われ、火をつければ爆発的に燃える。逆に最後の方にあるプラチナ(Pt)や金(Au)は非常に安定していて化学反応を起こしにくい。だからこそ世界中で珍重される。

暗記することも時には大切だが、自分のものとして長く身につけておく必要があるのなら丸暗記ではなく縦横に関連づけて覚えることが大切なのだ。洗濯物も表面積を増やして風を当てて水分が蒸発しやすいようにするという基本さえ覚えていたら博多華丸・大吉さんももっと早く洗濯物を乾かすことができたのではないかと残念に思っている。

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