野球道

今年は新型コロナの影響で夏の甲子園もどうなるかわからない状況だが、ボクにとっては興味のない話題だ。というのもボクの住む神奈川県から出場するのはいわゆる”高校野球の名門校”が多く、野球部員たちも決して地元・神奈川の出身ではないことが多いので「神奈川がんばれー!」という気にもなれず、地元の学校だからといって応援することもない。仮に自分の出身校が出場することにでもなれば話は別なのだろうが、そんな事は奇跡が起きて新型コロナ騒動が一夜にして明日終息したとしてもありえなさそうである。そんなわけで毎年の高校野球も興味を持って見ることはない。

高校野球では試合開始と終了したときには両チームの選手がホームベースを挟んで並び、互いに礼をする習わしになっている。試合開始の初球が投げられるときには球場内にサイレンが鳴りわたる。ボクのおばあちゃんは野球と大相撲が大好きで、とりわけジャイアンツと長嶋茂雄のファンだった。それでも高校野球でサイレンが鳴るのを聞くと「空襲警報みたいで嫌な音だねぇ」と言っていた。

日本では何につけても”道”にする。柔道、剣道、空手道、茶道、華道、相撲道、レスリング道、…。おそらくこれは礼節を大切にする日本の精神を表しているのだろう。柔道や剣道、相撲でも試合の前には互いの選手が礼をする。相手を敬う気持ちと自分に潔くあれという心を表している。そしてガイジンたちを驚かすのは道場や競技場に入るときにも一礼する事なのだという。

日本人は言う。グランドに感謝し、敬意を表しているんです。しかしガイジンはそんな事はしない。グランドを整備するのはその係りの人の仕事であって自分のやることではない、と言う。しかし日本人は、使い終わればグラウンドを整備しコートを掃き、床を磨いて綺麗にするところまでが競技なのだと思っている。そして最後に礼をしてグランドを後にする。そうしてグランドに感謝する気持ちを作っていく。

日本人は八百万の神がおり、あらゆるものに神様が宿っているということを心のどこかで信じている。最後の一粒まで食べ物を残さず、学校の教室や校庭、トイレを掃除するのは生徒の当然の役割だし誰も文句は言わない。さすがに教室に入るときに一礼する生徒は少ないが、おそらく多くの生徒が学校をさるときには「教室に感謝」して「校庭に感謝」して「体育館に感謝」して「給食室に感謝」して卒業していく。
あらゆることに精神性を求める日本人はすべてのことを”道”にする。将棋道、バレーボール道、鉄道模型道、旅行道、フェンシング道…。

「グランドに礼」

日本人は単なるスポーツにも精神性を求め、あらゆるものに感謝する素敵な国民なのである。でもウイルスにはあまり感謝していない。

いいじゃないか、にんげんだもの。

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