ネット飲み会

「おー、久しぶりっ!」「元気してたぁ?」

同窓会会場の居酒屋ではない。自宅のダイニングに置かれたノートパソコンに向かっていい大人が独り言をつぶやいている。今、日本中の一般家庭でそんな光景が見られるのだという。新型コロナによる自粛が続いているために飲食店での会食や飲み会は敬遠されるどころか営業している店すらない。そこで注目を浴びているのが「ネット飲み会」だ。

世間では「オンライン飲み会」とも言われている。インターネットで何人かの仲間がパソコンやタブレットでテレビ電話を繋ぎながら、自宅で自分で用意した食べ物や飲み物を楽しむ。参加するメンバーが直接会うことはない。乾杯もおしゃべりも全部画面越しだ。さすがにここではコロナウイルスに感染してしまうことはない。心配なのはコンピュータウイルスだけである。

もっとも基本はテレビ電話なので間違えてウイルスメールを受け取ってしまう心配もないし、仮にウイルスが仕込まれたファイルが紛れ込んだとしてもテレビ電話越しに「こんな変なファイルが来たんだけど何だと思う?」と仲間に相談してみればいい。「そんなの危ないから中身なんて見ないですぐにゴミ箱に入れるべし!」なんてアドバイスだってもらえる。

仮にベロベロに酔っ払っても家まで帰る心配もないし、さすがに飲み屋の雰囲気は味わえないが料理や飲み物の費用もリーズナブルだ。最初は「ネット上で話をしてもなぁ」と思っていたが、インターネット回線が適度に遅いと会話のテンポも緩やかになって疲れないペースで話ができるのもいい。直接会っている訳ではないが顔を見ながら飲んでいるので疎外感はないし、途中でトイレやシャワーを浴びたりとそれぞれが好みのペースで参加できる。

そして全国的に外出自粛やテレワークが叫ばれているので、普段は忙しくて予定の立たない人も今は割と自宅にいて都合が合わせやすいのもたくさんのネット飲み会が行われている原因かもしれない。だからといって簡単に開催できるからといって毎晩やってしまうと外に飲みに行くより安上がりだがそれなりに食費もかさみ酒量も増えてしまう。なんでも程々が肝心だ。

そんな人が急激に増えたのか、ボクの住む平塚の飲食店でも一気にテイクアウトメニューが充実してきた。お弁当風のもの、オードブル風のもの、イタリアンピッツァ、焼き鳥や唐揚げ、ステーキまで揃って豪華そのものだ。1500円から2000円くらいの料理を買って来てあとはお好みで家でちょっとしたものを作れば二人分のメニューとしては十分だ。色々なお店がテイクアウトメニューを出すようになったので飽きることもない。

もちろんそれだけで飲食店の経営が支えられるものではまったくないが、今の状況で「できることをやって生き延びる」のは大切なことだ。そしてコロナが収束した後にはここで培ったテイクアウトという手法を新しく店の経営に取り込んでより一層の繁盛が見えるかもしれない。苦しい時にこそ人は頭を使って考え、チャレンジする。せっかくのコロナ騒ぎなのだから、これを逆手にとってポストコロナには大きく伸びて欲しいものである。

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