逃げ隠れ

と言っても汚職をして国会から逃げ回っている与党議員の話ではない。逃げる必要もないのに逃げ回ることで余計に醜く目立ってしまっている某公共放送の番組スタッフの話だ。

「ブラタモリ」という番組をご存知だろうか? タレントのタモリさんが全国各地を(数年前までは東京都内だけだったが某民放でお昼にやっていた人気番組が終わってからは全国にロケに行かれるようになったらしい)ブラブラと旅してその町の成り立ちを主に地形などから解き明かしていくNHKの番組である。

ロケはアシスタントの女子アナと二人でその土地を歩き回るのだが、それぞれのテーマに応じて歴史や地学などの専門家であるゲストが登場する。撮影スタッフの間では事前に打ち合わせがされているのだが、どうもタモリさんやアシスタントにはその内容があまり伝えられていない様子である。だからゲストの問いかけにタモリさんが想定外の答え方をするとカメラは急にパンしてスタッフがたむろしているあたりを映し出すことがある。

するとそこにいたスタッフはカメラの画角の外に出ようと慌てて逃げ惑うのだ。その慌て方は毎回見ていても相当にカッコ悪い。それにテレビ番組のロケをしているのだからテレビを見ている視聴者だってたくさんのスタッフがぞろぞろとついてきていることくらいは容易に予想がついている。だからそこにスタッフが写り込んでもなんら不自然ではない。

それは事前の打ち合わせになかった風景を撮影しようとしてカメラマンが急にカメラを向けたのかもしれないし元々打ち合わせをしていなかったのかもしれないが、画角にスタッフの姿が映り込んだからといって不快なものではないと思う。スタジオにいて出演者の前をスタッフが横切ったのなら「邪魔だな」と思うかもしれないがロケの現場では背景の一部だ。逆に誰もいない方が不自然である。

逆に逃げ惑うスタッフの姿の方がよっぽどカッコ悪い。カメラの画角に入った瞬間に急に走り出したりするから余計に無様な格好が目立つのだ。普通に街にいる人のように堂々としていたら視聴者にはスタッフだということさえ気がつかないかもしれないのに。

「雉も鳴かずば撃たれまい」とはよく言われる。とっさの急な動きはとにかく目立つ。海の中を潜って生き物を観察する時にもじっとして何かに擬態している生き物を見つけることなかなか難しい。目立たないように擬態しているのだから当たり前なのだがそんな彼らが簡単に見つかってしまうことがある。ボクらが気づかずに彼らに近づきすぎると危険を感じて急に動くことがある。そんな時には節穴の目でもその存在を簡単に知ることができるわけだ。逃げようとして急に動くからかえってすぐにわかってしまう。

逆に近づいても全く動かないものにはなかなか気づかない。オコゼという魚をご存知だろうか? 刺身や唐揚げにすると美味しい魚だし、釣りでも時々針にかかるので目にした方も多いだろう。オコゼはその背びれに毒針があり自分が襲われた時にその針で自分を守るが自分から相手を攻撃して刺すということはない。それでもボクはかつてダイビングをしている時にオコゼに刺されたことがある。なにもオコゼを襲ったわけではない。気づかないでオコゼの上で寝そべってしまったのだ。チクっという痛みで「オコゼだ」ということに気づいたのだがその場を見ても何もいない。しかしライトを当てて探したらやっぱりオコゼがドテッと岩場の海藻の中に紛れていた。

オコゼに背びれについている棘が7ミリもあるウエットスーツを突き抜けてボクの足に突き刺さった。その時はチクっとした痛みだけだったがその日の夕方には刺されたところが赤く腫れ上がって痛みもひどくなった。すごく痛かったが我慢できないほどでもなかったのでマキロンを塗って放っておいたら幸いなことに2〜3日で治った。

南の海には同じオコゼの仲間で「オニダルマオコゼ」という種類がたくさん住んでいるがこいつらの毒は猛烈だそうで毎年死人も出ている。サメに食われる人はあまりいないがオコゼに刺される人は大勢いる。いやそんな話ではなかった。

急な行動はとにかく目立つ。事件を起こした犯罪者も急に不自然に駆け出したりするから目立つのだという。だからプロの犯罪者はあらゆる事態を想定して急な目立つ行動を起こさず自然に群衆の中に紛れ込むのだという。しかしブラタモリのスタッフはいつまで経ってもその辺りのことがわからないらしい。

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