おせち料理の思ひで

小学生の頃までのお正月の朝は家で過ごしてお袋が作ったおせち料理を食べていた。やがて大晦日には出歩くようになって家に居着かなくなるとお正月におせち料理を食べることもなくなり今に至っている。取り立てておせち料理が特に好きだということもなかったので暮れにどこかでおせち料理を買うこともない。そもそもおせち料理は所詮保存食だ。

ボクが子供の頃はコンビニもなく、お正月の間はすべてのお店が休みだったので食料品を買うこともできなかった。冷凍食品もなかったので年末に買い溜めておいた食料品で食いつなぐか、お正月の間はおせち料理を少しずつ食べて過ごしたわけだ。冷蔵庫がなかった時代には煮たり塩漬けやすずけにした痛みにくいもので乗り切ったのだろう。かつては三ヶ日は火を使わないで過ごすことで竈の神様に感謝するという意味合いもあったらしい。

それが今では大晦日も元旦も見境なくデパートもスーパーもコンビニも普通に営業している。冷凍食品や人口保存料の発達で1週間も持つような地売りパンまである。保存食など作っておく必要はなくなった。昭和50年代には当時人気だったキャンディーズがテレビコマーシャルで「おせちもいいけどカレーもね」とレトルトカレーの宣伝をしていた。お正月の間、おせち料理を食べ続けることに飽きてきた頃にキャンディーズはそう言い放った。

元旦はまだしも2日目ともなれば子供の好きな数の子、昆布巻き、かまぼこや煮豆などは既になくなり、人気のない芋や椎茸の煮物ばかりが残ることになる。そんな状況になると子供はテレビを見て「カレーが食べたい!」などと言い出すのだ。

その後のボクにとってのおせち料理はホテルに勤めていた頃、元旦に出勤して職場で行われる賀詞交換会や懇親会のパーティー会場で出されるおせち料理を立食でつまみ食いする程度だった。だからボクにはおせち料理の思い出なんてあまりないのだ。

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