生理用品

まだ学生だった頃、いつも一緒につるんでいたリエさんやシロー、カズ子やコメ吉など友人の間で、女の子の生理用品についての疑問が出たことがある。もちろん男から女の子への質問だ。全員が気のおけない仲間(いわゆる悪友)だったせいか普段からそんな話も平気でしていた。そういえばインドで初めて女性用生理用品を作って売り出した人の話が映画になったという話を聞いたことはあるが、普段の会話の中では、特に男女間ではそんな話題になることはあまりないように思う。インドでもその人は周囲から白い目で見られたのだという。当時は日本のテレビでもたまに「アンネタンポン」のCMがあるくらいで今のようにオープンな環境ではあまりなかった。

話は生理用ナプキンの話だ。みんなが集まっている場でボクが女の子に「あんなものを貼り付けたら剥がすときに毛がくっついて痛いんじゃない?」と尋ねたところ、その子は「・・・?」と不思議そうな顔をしている。男子も全員が興味深そうに答えを待っている。そこで「髪の毛にセロテープくっつけて剥がしたら痛いのと一緒だよ」と言ったら「なんで毛がくっつくの?」とさらに不思議そうに訊いてくる。仕方なく「・・・? だってアソコに貼り付けるんでしょ?」とさらに訊くと、「あれはパンツに貼り付けるんだから毛に付くわけないじゃん」と答えた。驚いたボクらが一斉に「えっ?どういうこと?」と言うと女の子たちは「パ・ン・ツに貼るんだよ!」と口を揃えた。ボクたち男子は全員が「うっそー!」と声をあげた。そ、そうだったのか!知らなかった(^^;
当時の思春期の男子はそんなことも知らないのであった。

そういえば中学校ではある時急に教室から男子を追い出して女子だけが何やら秘密の話を聞く時間があったのを覚えている。その時男子は訳も分からず校庭に行かされて放置された。もしかしたらあの時に女子にとっては大変重要な”お話”があったのではないかと思う。高校では学年ごとに男子だけが体育館に集められて「男女と性交」といった内容の講演を聞かされた。講師は「オマエらはバカなんだからやたらめったらヤルんじゃない!」とヒステリックにわめき散らすばかりで聞かされているこっちは辟易したものである。今になってもあれはなんだったんだろうと思うような変な出来事だった。

昔から日本の性教育とはそんなものだった。なんだか触れてはいけない話題として家庭でも学校でも子供にはできるだけ聞かせないようにしたり、そんな話をすることは”不謹慎”だとか”悪”だと決めつけられていた。だからボクたち男子は自分の生活とはまだ直接関係のなかった女子の生理用品のことなど知らされていなかったのである。

ボクの兄弟には男のしかいない。弟が一人いるばかりだ。当時交流のあった従兄弟たちも全て男だったし学校の友人の兄弟も男ばかりだった。だから家で唐突にお赤飯が炊かれることもなかったし兄弟姉妹の誰かが毎月決まったように機嫌が悪くなって具合悪くなることも知らなかった。今になって男子の理解がないと言われてもそういうことを見聞する機会がないのだから知りようがない。

先日、NHKテレビで女の子の生理用品の無知について大人の男子が槍玉に挙げられていた。しかし今までの状況がそんなものだから誰も詳しいことはわからない。模型の女性用下着に「生理用品をつけてみてください。」と言われた男性出演者の中で正しくつけられた人は一人もおらず半数の人は学生時代の僕らが勘違いしていたように裏と表を逆につけていた。今でもそんな状況は全く変わっていないのだという。それでいて「男は女性のことを理解してない」などと非難されても、範囲外の問題がいきなり出題されたテストのように困ってしまうのだ。

学校で正しい知識を身につけさせようと授業で取り上げると保護者の中には「そんな話を子供に聞かせて何かあったらどう責任を取ってくれるんですか?」と怒鳴りこんでくる人もいるらしい。どうしてそんな話を聞いたことで”何かが”起きるのか全く理解できないし、すべての子どもがやがて大人になり直面する問題を隠したり先送りしてなんのメリットがあるというのだろう。ほぼ間違いなくすべての子どもに降りかかってくる問題を家庭でも学校でも意識して話題にしないことで将来的に大きなトラブルを招くのにだ。それは歴史の年号や方程式や微積分の問題を解く以上に身近で深刻な問題に違いない。

性に関する問題に公の場で触れることは日本ではタブーとされている。もちろん必要のない場所で大声で議論することではないだろう。しかし誰もが直面する大切な問題についてあえてそれを避けて教えることをしないという親や学校の姿勢には重大な問題があると思っている。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください