ラジオと私

いきなり「NHK青年の主張コンクール」のようになってしまったが、そういえば最近ではラジオを聞くことが少なくなっている。つけっぱなしでも大して気が散らないテレビと違ってラジオはつい話に聞き入ってしまうので仕事をしながら聞くにははなはだ都合が悪い。それでも学生時代には深夜放送など聴きながら受験勉強したりしていたのだからさほど勉強に身が入っていなかったのだとしても無理はない。

テレビ放送は全国の多くの人に見られているという感覚があるが、ラジオはパーソナリティーが自分に向かって話しかけてくるような錯覚に陥る。ラジオの向こう側にいる話し手と聴取者があたかも1対1で話しているような気分になる。恐らく深夜放送のラジオに向かって話しかけたことのある人も多いのではないだろうか。そういう意味ではテレビや新聞の”マスコミュニケーション”とは趣を異にする。

ラジオの向こうから「君はどう?」と問いかけられるとつい「えーと…」と真剣に考えてしまう。しかしテレビだとそうはならない。テレビの向こう側の人は「全国のお茶の間の皆さん」に向かって放送しているのだから自分が見ていようがいまいが聞いていようがいまいが一向に構わないという態度でいるに違いないと感じる。どちらかというと演者の独り言を聞いているようだ。

これは普段の会話や大人数を相手にしたスピーチの時でも同じだ。”聴衆に向かって”ではなく”一人のあなた”に向かって話しかければ相手は「自分のことだ」と感じて身を乗り出して一所懸命に聴こうとする。マーケティングやキャッチコピーも同じだ。「すべての皆さんに」と呼びかけるよりも「あなただけに」と語りかけた方が10倍も効果的になる。

人は誰に言っているのかわからない言葉よりも自分に向かって話しかけてくる声を聴こうとする。一般的にいって多くの人に一定に話すことよりも”あなた”に向かって話す内容のほうが自分にとっては重要であることが多い。だからラジオの深夜放送は人気があったのだろうなぁと思う。自分の気持ちを分かってくれていると思えたのかもしれない。

しかし後期中年者ともなると深夜放送の時間まで起きていられないので自然とラジオを聴く機会は少なくなってしまうのだ。

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