ルーティーン

前回のラグビーワールドカップで話題になった元日本代表の五郎丸歩選手のカンチョーポーズで有名になった。浣腸(かんちょう)をご存じない方のために一応説明しておくと、肛門から薬を注入する投薬法のことで解熱や下痢、便秘などの際に処方される。特に乳児の場合に経口投与が難しい時に用いられる。現在でも薬局薬店では簡易型の「イチジク浣腸」(商品名)が売られている。この肛門から差し入れることから昔の子供は友達の肛門に向けて服の上から指を突き立てて「かんちょ~!」と言ってふざける遊びが流行っていた。まぁどうでもいいことだ。

五郎丸選手はゴールキックやペナルティキックの前に一定の同じ動作を行って精神統一を図はかっていたという。この一連の動作を「ルーティーン」といい一般にも話題になった。ルーティーンはラグビーに限らず野球選手が打席に立った時やゴルフ選手がティーショットやパッティングをする前、テニス選手がサーブを打つ前などにもしばしば見られる。この動作は自分で決めた一定のルールに従って行うもので、過度の緊張を和らげたり雑念を追い払うのに効果があると言われている。

卑近な例でいえば”朝のルーティーン”などがある。これは緊張や雑念などとは関係なく毎朝同じことをすることで体に「朝だよ」ということを知らせているのだという人もいるが効果のほどは分からない。目が覚めてからコップ一杯の水を飲み、決まったメニューの朝食を食べて顔を洗い歯を磨いてから朝のお務めに向かうことで体と心のリズムを整えるというのは分からないではない。

ルーティーン、日本では以前からルーチンワークなどという言葉で一般的だがコンピュータプログラミングの世界でも使われてきた。確認画面の表示やプリント処理などの共通した処理を行うプログラムをパッケージ化して様々なプログラムから呼び出して同じ処理をさせることを指し「ルーチン化」などと言ったりする。すべてのプログラムで共通した働きをさせるのなら同じプログラムを何度も書くよりも、一度書いたプログラムを汎用的に使った方が効率がいい。

コンピュータなら決めたルーチンなら間違いなく何度でも同じ動きを繰り返してくれるのだが、人間が決めたルーティーンは途中で邪魔が入って妨害されると途切れてしまうことがある。朝のお務めならやがて自然の欲求がやってくるので忘れていてもまた思い出さざるを得ないが、出掛けるときに玄関の鍵をかけるとか外出から帰ったら手洗いうがいをする程度のことだとうっかり忘れていてもそのままになってしまうことが多い。

以前、ダイビングに行ったときにルーティーンを忘れて痛い目に遭ったことがある。海に潜る前には陸上で潜水器材をセッティングし、タンクのバルブを開けて吸い口から空気が出てくることを確認したうえで潜水を始めるのだが、その時はセッティングの最中に声を掛けられて途中でその場を離れてしまった。その場に戻ってからもういちど最初からルーティーンをやり直せばよかったのだが、すでにセッティングが完了しているものだと勘違いし、そのままタンクを背負って海に飛び込んだものの水中でいくら吸っても空気が出てこない。

「しまった、タンクのバルブを開け忘れた」と思ったが後の祭りだ。慌てて水中で器材を外してバルブを開けて事なきを得たのだが、一時は死ぬかと思って焦ったものである。空気のない世界に行く前は慎重にも慎重を期さないと一瞬で命を落とすことになる。海水浴であろうと飲酒後に海に入るなどもってのほかだ。

話が逸れた。ルーティーンは一度決めたら一連の動作が終わるまでは絶対に途中でやめてはいけない。一つの習慣というよりも”決め”である。途中で横やりが入ってもそのルーティーンが終わるまでは別のことに気を取られてはいけない。そうして初めてルーティーンが意味を持つのであって、”決め”を守らなければとんでもない落とし穴にはまってしまうことも覚悟しなければいけない、よ。

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