だまされる人

中学の頃仲間内では、爪が伸びるのが早いヤツは助平な証拠だともっぱらの噂だった。ボクはクラスでも抜きんでて爪の伸び方が早かったからクラス一のスケベだと言われていた。思春期を迎えた紅顔の美少年だったボクは恥ずかしかったが、今となってはあの頃の自分が羨ましくもある。人は変わるものだ。

暗示にかかりやすい人がいる。他の人に何かを言われるとすぐに鵜呑みにしてしまう。疑うことを知らない、ある意味では素直で憎めないいい人だ。ではどんな人が暗示にかかりやすいのだろう。そもそも「暗示」とは何なのか? 辞書を引いてみると、

 1.「直接には言わないでそれとなく示すこと」
 2.「そう思う(する)ように言葉でそれとなく仕向けること」

とある。「暗示にかかる」というときには後者の意味だろう。まるで催眠術にでもかけられたかのように相手の思うままに心を操作されるという意味だと思う。暗示にかかりやすいということは基本的に相手の言うことをそのまま受け入れやすい性格なのではないだろうか。相手の言葉を疑うことなく最初から自分の意見だったかのように勘違いして、それが相手が話したことではなく最初から自分が考えついた意見であるかのように勘違いして思い込んでしまえば、誰かの意見に左右されたという感覚を持つことなく自分の考えでそれをやるべきだと信じられるようになる。

人は自分の考えに固執するということは、他の人に意見されることは疑っても自分が正しいと思ったことについてはなかなか考えを変えようとしないということだ。これを「頑固(がんこ)」ということもある。その意見がある程度正しいならまだしも、一般的に社会に受け入れられないような考えであれば「頑迷(がんめい)」などと言われたりする。

若い頃に言われたことは素直に信じたが人生の海を泳ぐ中で騙され続けて人を信じられなくなると自分と違う考えを理解することができなくなる。広く他者の、自分とは違う考えや思想を柔軟に取りこめないとただの頑固な人間になってしまう。たとえ自分が”正しい”と思っていることでも他の人から見れば「間違っている」ことは往々にしてよくある。

そんな考えに囚われていると他人から吹き込まれる暗示に簡単に引っかかってしまう。いわゆる「オレオレ詐欺」に高齢者が簡単に騙されてしまうのも、自分の勝手な思い込みにつけ込まれているからだ。他の人の意見を聞くことなく自分の思い込みだけで行動してしまう。

ボクもそろそろ後期中年者である。心しておかなければいけないと思っている。年齢を重ねるとさらにその傾向は強まり手に負えなくなることもある。その時には既に誰かの意見を聞こうという気持ちすらなくなっているだろう。

詐欺師はそこを狙っている。だからこそ自分で意識して「自分は間違っているかもしれない」と自問自答することで少しでも柔軟な心を保つように努力しなければいけないと思う。世の中は常に変化している。昔は正しかったことも今では非常識になっていたりする。常に振り返って考えることがこれからは大切になるのだと思う。

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