計画運休

もうずいぶん昔のことだが社員旅行で広島に行ったことがある。当時新しくオープンした広島プリンスホテルの施設見学を兼ねて行ったのだが、どうせ夜になればホテルに戻って来るのだからその時に見学させてもらえばいいやと思って昼間は旧広島気象台跡の江波山気象館に行った。

この記念館は昭和20年の原爆投下当時からのそのままの建物が残っており、爆風で壁にめり込んだ窓ガラスの破片なども残っているのだが、中には暴風を体験する施設などもあって歴史も気象も普通に楽しめる。ボクが風速18mを体験したのはここだ。もちろん実際の台風の街中で暴風に遭ったこともないわけではないが、「これが風速○○m/sです」と言われて風に当たったという意味では貴重な体験だった。そしてそこで感じたのは「18m/sってこんなに凄いのか!」という驚きだった。何かに摑まっていても吹き飛ばされそうだった。

先月に千葉県を中心に甚大な被害を出した台風15号や昨年大阪を襲った台風21号では最大瞬間風速が60m/s近くにもなった。瞬間風速が60n/sというと平均でも30~40m/sである。これは沖縄でもめったに吹かないくらいの暴風であり、今まで本土では室戸台風や枕崎台風、伊勢湾台風などの有名な(?!)台風に匹敵するレベルだ。こんな台風が2年続けて来襲したかと思ったら1か月後には19号がそれをも上回る規模でやって来た。

昨年からJRでは「計画運休」を実施しており、台風が接近しそうなときには「明日は朝から運休」といった対応をしている。以前ここにも書いたが、前もって運休の予定を決めてしまえばそれぞれの人が自分で身の振り方を考えることもできて混乱も最小限に抑えられる。そんな分かりきったことが最近になってやっと実施されるようになった。

しかし先月の15号の時には計画運休を宣言したのはJRだけで、私鉄各社は対応しなかった。そのことが大混乱を巻き起こして大きな非難を浴びた。JRも運転開始見込みを「朝8時から」などと発表したものの、あまりの被害の大きさに運転を再開できたのは午後になってからだった。その間、多くの駅では運転再開を待つ利用者で溢れた。考えてみれば台風後の運転再開見通しなど被害の有無によって左右されることくらい分かりきっている。それでも人々はJRのアナウンスだけを信じて駅に集まった。

沖縄では以前から気象庁の暴風警報が出ると公共交通機関は運休し、学校や職場からも自宅待機の指示が出される。沖縄の台風は半端ではない。直撃されているときに沖縄で過ごしたことはないが、過去に台風直後の惨状を目の当たりにしたことは何度かある。その時の光景が昨年の大阪でも今年の千葉でも再現されていた。

今までは「台風は沖縄や九州・四国を直撃するもの」であり「関東・関西を直撃するのはヘタレ台風」だと思われてきたが、本土でも家や車が飛び、町中が水に浸かって壊滅するようなそんな時代に突入した。こと台風や地震でなどの災害時にはこれまでの数10年の経験など役に立たなくなってきている。これから起きることは未体験ゾーンだ。心して想像力を最大限に働かせて準備を怠らないようにしなければならない。

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