お掛けになりませんか?

朝の情報番組を見ていたら、電車の優先席をお年寄りや妊婦さん、障害のある人にうまく譲ることができないというお悩みを特集していた。混みあった電車やバスに乗っていると年配の人や小さな子供連れ、妊婦さんと乗り合わせることもある。確かに年配の人に「年寄りだと思ってバカにするな」という態度をとられたり妙に遠慮されることがないわけではない。特に赤ちゃんを抱いた人などはなかなか座りたがらなかったりする。

それはそうなのだ。年配者は別としても赤ちゃんを抱いていたりすると親は「途中で泣かれはしないだろうか」とひやひやしている。それも立って外の景色を見せているときはご機嫌でも親が座ったとたんに泣き出したりすることは日常茶飯事だ。それならちょっとくらい疲れても立っていたほうがいいやと思うのも自然だ。そんな人に「どうぞ座ってください」と言っても親切をむげに断れないという気持ちと泣かれたら困るという気持ちが錯綜する。そんな時はこう声をかけてみてはどうだろう。

「お掛けになりますか?」

昔の日本の食堂は店に入ると開いている席を自分で見つけて勝手に座るのが一般的だった。ファミレスが流行り始めたころから入り口で「何名様ですか?」と訊かれて店員に案内してもらうスタイルが一般的になった。しかしボクはいつも気になることがある。席まで案内されると決まってこう言うのだ。「こちらの席でもいいですか?」と。~でもいいですか?と言われると本当はよくない席だけど我慢してもらえますかと言っているように聞こえる。実際に4人掛けのテーブルに6人で座ってくれというのなら”我慢してくれますか?”という意味合いもあるだろうが、概して案内される席は他と変わりない席だ。

その時はこう言ってみたらどうだろう。

「こちらのお席はいかがでしょうか?」

「このテーブルでもいいですか」ではなく「カウンター席はいかがでしょうか?」と勧めてはどうだろうか。お客様に選択権を持たせて選ばせるわけだ。

人は自分に選択権がある自由な状態を好む。店員の言いなりではない”自分が選んだ席”は命令されて座らされた席よりも満足度は高くなる。実際には言いなりになって座っているわけだが受け止め方ひとつで気持ちは大きく変わる。もちろん他の席が空いていなかった時には「こちらのお席が空いております」とあたかもラッキーであるかのようにお勧めすればいい。嫌なら断って立って待つだけだろう。それでも自分の意志は尊重される。

何ごとも言い方ひとつで受け止め方は大きく変わる。どうせ同じ結果になるならお互いが気持ちよく過ごせた方が気分がいい。こういうのをWin-Winのサービスというのではないかと思うのだ。

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