朝から何回「面倒くさい!」って言いましたか?

■ 何もかもが面倒くさい
先日、東海道線の中で中高年の女性が話していました。「最近、すべてが面倒くさいの。自分のことだけで手一杯で何もしたくないの」
どうやら子供の話をしているようです。子供といってももう成人している頃合いのご婦人です。そうなのかー、年をとると何もかもが面倒くさくなってしまうんですね。でも若くてもすぐに「面倒くさい」って言う人、いますよね? 年齢のせいだけではなさそうですね。そもそも”面倒くさい”っていうのはどんな感情なんでしょうか?

一般には”煩わしいこと”をやることを”面倒くさい”と言ったりします。煩わしいことっていうと、やっても意味のないことだったり無益なことだったりします。でもやっても意味のないことばかりが面倒くさいわけではないですよね。やることに意味はあるけれども、同じことを繰り返し繰り返しやらなければいけないことも面倒くさかったりします。毎日の洗濯や掃除もそうでしょうし書類のコピーをとることも面倒くさく感じます。効率的ではない上にそれをやることで自分自身が高められない時にそう感じることが多いようです。

■ 「面倒くさい」が文明を作ってきた
人は昔から生きるために面倒くさいことを数限りなくやってきました。単純な道具で狩りをしたり木の実を取りに行ったり、作物を作ったり、魚を捕りに行ったり、水を汲みに行ったり…。そうやって大昔から生きてきました。生きるためですから、そのことを”面倒くさい”と思う人は少なかったのだと思います。
ところが産業革命以降、世界には自動化の大波が押し寄せます。歩くのが面倒くさいからと汽車や自動車が発明され、火を起こすのが面倒くさいからとガスや電気が普及し、手紙を送るのが面倒くさいからと電信電話が発達しました。すべては”面倒くさい”ことをやらないで済むようにするために発明されたわけです。そしてコンピュータが発明されて電信電話はインターネットとなり、洗濯は全自動洗濯機がやってくれ、無人の家の中ではルンバが動き回っています。挙句には車を運転するのも面倒くさいと自動運転車が現実のものとなろうとし、考えることも面倒くさくなってAIが人間に取って代わろうとしています。もう人間もいらなくなってしまうかもしれません。

■ 自動化は「悪」なのか?
世界のすべてが自動化されたときに人間はどうなるのでしょうか? いやいや、僕が子供の頃の小学生は「未来の世界」の絵を描く時には必ず、車は透明なチューブの中を走り、食事はお料理ロボットが作ってくれ、掃除も洗濯もすべてはロボットが人間の代わりにやってくれる夢のような世界がやって来ると思っていました。お父さんも働くことはなくなり、毎日を遊んで暮らせるような世の中になるはずだったのです(笑) ところがそんな世界にちょっと近づいてみると、どういうわけか面倒くさい仕事ばかりが増え、お父さんどころかお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんまで活躍しなければいけなくなり、みんなが面倒くさい仕事をやっているはずなのに肥満が増えて生活習慣病を心配するようになりました。そして日本の社会保障費は年間で30兆円を超えています。しかもこれからの世代には年金が支給されるかもわからない状態です。18世紀の産業革命から、豊かになろうと自動化を進めてきたはずなのにどうしてしまったのでしょう。

■ やってみよう、やってみたい
でもここでそんな話をして暗くなっていても仕方ありません。せめて生きているうちは丈夫で元気よく暮らして、最後は苦しまずにコロリと逝きたいものです。そのためには何ができるのでしょうか?
最近、街でよく耳にするのは、

・外に出るのが面倒くさい
・トイレに行くのが面倒くさい
・立ち上がるのが面倒くさい
・朝起きるのが面倒くさい
・学校に行くのが面倒くさい
・バイトに行くのが面倒くさい

などなど、お年寄りだけではなく若者も一様に愚痴っています。でもスマホをいじるのだけは面倒くさくないみたいですね(笑) でもよく見れば面倒くさいことは”どうしてもやらなければいけないことだったりするんです。やらなくてもいいゴルフやテニスやサッカーやスポーツジムには喜々としてお金を払って行くのに、です。そこで、面倒くさいことはどうせやらなければいけないことなのですから、自分の将来の健康に役立てるために喜んでやってみるのはどうでしょうか? 一度で済む用事を何度も言いつけられたら「何度も立ち上がらせてくれてありがとう」「何度もスーパーまで歩かせてくれてありがとう」と思ってちょっとづつでも動いてみたら、損した気分にはならないと思いませんか?

■ 面倒くさいは面倒じゃない
人は年をとると余計に面倒くさいと思う傾向が強くなります。ですからすぐに「面倒くさい」と思うようになったら老化が進んできたということだと思ってください。これは実年齢とは関係ありません。若くてもすぐに「面倒くさい」と思うのは精神的な老化が進んできたということです。人は身体を動かさなくなればあっという間に老化が進んで健康を害しやすくなります。健康を保つには健康食品やサプリを飲むよりも「面倒くさい」と思った時に「面倒くさいからやろう」と思うことこそ最善の秘訣です。面倒くさいことは決して無意味で無益なことではありません。

今の時代、面倒くさいことは自分のためになるのだなぁと思う今日この頃なのです。