腸内フローラ(お花畑)

南の海の珊瑚礁。エメラルドグリーンの海に青緑に輝く風景は慌ただしくストレスフルな精神を解きほぐし穏やかな心を取り戻してくれる。穏やかで暖かな水に顔を浸ければ透き通った海の底にはさまざまな色の珊瑚礁が広がる。その光景はあたかも竜宮城にいるかのような錯覚を覚える。心地いいかすかな波間に漂うひと時は至福の時間だ。

しかしそんな美しい珊瑚礁も一つ一つをよく見ると茶色だったり緑だったりピンク色だったり乳白色だったりと、海の上から見たただの”青い珊瑚礁”ではないことに気づくだろう。ただ美しいだけではない様々な色は一つ一つの小さなサンゴ虫がその体内に飼っている「褐虫藻(かっちゅうそう)」という微生物の色なのだ。

サンゴは海水中に漂うプランクトンなどの微生物を食べて生きている。しかしそれだけでは生きていくことができないらしく、光合成をして栄養を作り出している体内の褐虫藻からも養分を貰って生きていると言われている。最近問題になっている地球温暖化の影響で海水温が上昇し、サンゴの中にいる褐虫藻が外に逃げ出してしまう「サンゴの白化現象」によって世界中で多くのサンゴが死滅している。巨大台風などの気象災害だけではなく地球規模で取り返しのつかない変化が起き始めている。

先日テレビで人間の腸内細菌の話をしていた。腸内細菌といえばビフィズス菌などが有名だが、人の場合で約3万種類、2kgもの微生物が腸内には住んでいるのだという。なんと2キロである。自分の体重のうち2キロは微生物なのだ。人間もサンゴのように体内に別の生き物を住まわせて生きているというわけだ。

腸内細菌と聞くと善玉菌・悪玉菌などと言われるが、恐らく善玉は常に善で悪玉は常に悪というわけでもないらしい。人の体調や状況によって善になったり悪として働くこともあるという。そりゃそうだ、細菌は人とは別の生き物であって人間のために生きているのではない。自分に一番都合がいいように生きているだけだ。人間はそれを都合よく利用しているに過ぎない。

その微生物から善なり悪なりの栄養素をもらって生きているのだから、微生物が人の体を支配しているといっても言い過ぎではないだろう。恐らく腸内細菌がすべていなくなってしまったら人間は生きていくことができない。悪玉菌が全部いなくなってしまったら死んでしまう善玉菌だっているはずだ。人の体は体の中も外も(胃や腸などの消化管の中は生物学的には”体外”である)すべてはバランスを保つことで全体がうまくいっている。バランスが崩れた時が病気であり死ぬときだ。

人の体を健全に保つために自分以外の生き物の力を借りているのだから「俺はひとりで生きていける」などと強がってばかりいるのもどうかと思うね。

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