バイリンギャル

以前の職場に、英語も日本語もフランス語もスペイン語もドイツ語も話せるという人がいた。宴会の席で上司の本部長から「じゃあフランス語でなんか喋れ」と言われて困っていたが、なんか喋れと言われたって自己紹介くらいしか思いつかないだろう。まったくもって酔っ払いのオヤジは手に負えない。

しかしいろんな言葉に堪能だと言われてもそれだけで言語能力に優れているわけではなかった。日本語力が思いのほか低かった。ドイツ語で日常会話はできても政治経済や職場の業務については何もわかっちゃいないのだ。

英語でも日本語でも言葉の使い方がなっていないし日常会話以上のことは日本語でもできなかった。慣用句も諺も何も知らない。こんなことで何を相手に伝えられるのだろうと不安に思っていたが、程なくして別の部署に移動させられた挙句、職場を去っていった。

たくさんの言葉を話せるというのははっきり言ってそれだけで羨ましい。いろいろな国の人と意思の疎通ができるのは素晴らしい。でもそれ以前に人としての素養があっての話だ。それがなければ「英語でなんか喋れ」と言われた時と同じ状況だ。せめて日本の古い文化くらいは少しでも勉強していなければ他の国の人と日常会話をする意味すら見出せない。

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