トリュフの香り

世界的な高級食材として有名なトリュフ。キノコの一種だがそれは土の中にあって人間にはわからないのでメス豚に探させるのだそうだ。ところがメス豚もトリュフが大好きで(だから探すのだけれど)見つけると食べてしまうので、最近では訓練した犬に探させるのだという。地面に埋まっているものを犬が見つけられるほど匂いが強いらしい。ボクも今までに何度か口にしたことはあったはずなのだが、その大きな特徴だという”香り”が分からなかった。他の食べ物の中に削りかすのようにちょっとだけ混ざっていても、他の食材の臭いに紛れてしまって「これがトリュフの匂いだ」と確信することができないでいた。犬未満である。いつかちゃんとトリュフの匂いを体験してみたいと常々思っていたのだがようやくそのチャンスがやって来た。

近所のイタリアンレストランでサマートリュフの限定メニューが出たのだ。一週間前から電話でトリュフの入荷状況を確認して予約を入れて来るべき日に臨んだ。

店に入って席に着くとオーナーシェフが今入荷したばかりだという生トリュフを見せてくれた。その一つを持って匂いを嗅いでみるがそんなに強烈な香りではない。強烈ではないが独特の匂いがあった。テレビのバラエティ番組でよく見るトリュフは薄くスライスされて出てくる。このトリュフがスライスされたときには強烈な匂いを放つのかもしれない。

いくつかの前菜を注文し、ワインなど飲みながら軽く食事を楽しんだ後、今日の最大の目的である「トリュフのパスタ」を注文した。このお店はピッツェリアなのだが、トリュフ単独の匂いをハッキリと確認するには臭いの強い食材の入っていないパスタの方がいいだろうと思ったわけだ。

しばらくして運ばれてきたパスタにはやはり薄くスライスされたトリュフがたっぷりと掛かっていた。今度こそカスのような粉のようなトリュフではない”本物の”トリュフだ。まずは匂いの確認である。丸ごとよりもややはっきりと感じられるが特にキツイ匂いではない。キツくはないが独特の香りだ。そしてスライスされた一片をつまみ上げて齧ってみる。食べてみても特に味はない。味はないが歯ごたえがある。キノコとは思えない、アーモンドのスライスを食べているような歯ごたえだ。

今度はパスタに絡めて食べてみる。するとその香りが鼻の奥からフワッと感じられるた。これは悪くない。美味しいがしかし取り立ててクセになるほどのものではない。クセにはならないが”普通に美味しい”(こんな場面で使うのですな)。かつてイタリアで食べたフレッシュのポルチーニ茸の方が香りも強くコクがあって好みだが比べるようなものではない。それぞれに美味しければいいのだ。

余談だが今までボクが味わった日本の、世界の美味珍味の中では「福井のへしこ(鯖の糠漬け)」がダントツに口に合った。キャビアや琵琶湖の鮒ずし、金沢のフグの卵巣の糠漬けはあまり口に合わなかった。高ければ何でも美味しいというわけではないし、珍しものが必ずしも美味しいとは限らない。てっさ、てっちり、スッポンも出されれば食べるが取り立てて好きでもない。刺身は鯵が一番好きだ。要するに食べ物は個人の好みである。

ボクのトリュフ再確認の旅は終わった。これでまた一つ、「世界の美味・珍味」を征服した。今回はとりたてて”素晴らしい感動”はなかったが、これでテレビでトリュフを食べている場面を見ても「あ~あの香りね」と自信を持って認識することができるというものだ。やっぱり何事も経験は宝である。

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