報酬系のハック

ハッカーやハッキングという言葉は、最近ではコンピュータの用語としてニュースなどで取り上げられることが多い。そしてあくまで”悪い”イメージだ。他人のコンピュータを乗っ取って機密情報を抜き取ったり、ウイルスをばら撒いたりするイメージである。しかしハッカーやハッキングという言葉自体に犯罪の意味はない。そもそも「ハック」とは元は「小技(こわざ)」のことである。

ハックという言葉が持つ善悪のイメージは別として、何かのタイミングで優れた小技を繰り出して問題や課題を解決したり生産性を高められることがある。ここでいう小技とはその程度のテクニックのことを指す。コンピューターのハッカーたちが使う小技も一つ一つは単純で簡単なものであることが多い。映画「ミッション・インポッシブル」の中でスパイたちが繰り出すような超絶技巧な技ばかりを駆使しているわけではない。

RPGゲームなどで一つのステージをクリアすると、ボーナスポイントがついて大量得点を得られたり、自分の攻撃力や防御力がUPしたりする。ボクは今でこそゲームをすることはなくなってしまったが、まだ学生だった昭和の頃にはファミコンによって人並みにゲームの洗礼を受けた。時には昼夜をたがわず10時間20時間とゲームをやり続けたこともあった。当時はスーパーマリオやドンキーコングなどが全盛の頃で、インベーダーゲームなどは既に大きく時代遅れの遺物になっていた時代である。

シューティング系でもマリオの冒険でもそうだが、ゲームはいくつかのステージに分かれていてそれぞれのステージの中でも小刻みに得点は増えるが、そのステージをクリアすると更にボーナス得点が入ることが多かった。ボーナスは単に得点のこともあったし無敵になれる剣や楯のこともあった。それらを手にすると次のステージではますます高得点が望めるというわけである。

このように短い期間(ステージをクリアしてから次のステージが始まるまで)に何らかの報酬を受けると、精神的に興奮してヤル気が高まる。「俺ってスゲェ!」感を感じるのだ。ヤル気が高まると次からは、より高度なテクニックを駆使したり知恵を絞って工夫することによってもっと高いレベルに挑戦しようという気概が生まれる。しかし低得点しか貰えないステージがだらだらと続いてなかなか報酬を得られないとヤル気が失せていく。だからコンピュータゲームではステージの序盤はやや難しくするのだが、終盤になるにしたがってやや簡単にして報酬を受けやすくするのだという。そしてステージをクリアした時にはドカンとボーナスを出す。するとその報酬によって「俺ってスゲェ!」と高揚感を感じてヤル気が高まるらしい。

ところが頻繁にこれをやりすぎるとプレイヤーがお調子者になってゲームに飽きてくるので、そう簡単には報酬を与えないようにする。しかしプレイヤーが飽きそうになった頃に餌を与えて繋ぎ止めるのだ。適度に短いスパンで報酬を与えておだてておかないとヤル気が持続しないらしい。ゲーム制作者もなかなか大変な仕事である。

これはゲームに限らず勉強や仕事でも応用できるテクニックかもしれない。特に勉強などでは、章の最初のうちはわかりにくい基本の理論を展開しておいて、中盤からは具体的な実例などを踏まえて経験に訴えるようにすれば理解がしやすいような気がする。そして章の最後では実際の応用例などを示せば自分が考え出して実践したかのように感じて「俺ってスゲェ!」と思ってもらえるような気がする。

それにしても人間って、結構面倒な生き物だ。

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