ダブルビン方式

生産管理とは文字通り生産を管理することである。それには原価管理や設備管理、生産方式、製品を効率よく短い期間で作るための工程管理など多岐にわたっているのだが、その中に在庫管理というものがある。もちろん在庫には2種類あって、生産するために購入した原材料の在庫管理と、生産した製品の在庫管理がある。出来上がった製品が売れずに倉庫に山積みになってしまえば、会社の資産にはなるが売れるまでは現金にならないのだから死財ともいえる。だから倉庫にある在庫が売れるまでは生産を抑えて在庫調整をしたりするのはよく聞く話だ。

「在庫だっていつかは売れるんだから多くてもいいじゃないか」という能天気な人もいないではないが、新しい製品が開発されて在庫の製品が旧型になってしまえば、いつまで経っても売れない不良在庫になってしまいかねない。もっとも一番の問題は経営資源ということなのだが、話がずれてしまうのでここでは触れないでおく。

では原材料の在庫管理はどうだろう。生産に必要な分がいつもきちんと足りていれば、材料がなくなって生産できずに販売機会を逃すことはない。しかし製品の在庫とも関係するが、製品在庫が少なくなれば生産量を増やさなければならない。すると当然原材料もたくさん必要になるわけだが、そんなに都合よく買い付けることができるとも限らず、仕入れようとしても品切れになっていては買うことができない。だからそのためには必要最低限と思われる量を在庫しておく必要がある。

在庫管理のやり方にはいくつかのやり方が知られている。世界的に有名なのがトヨタ自動車の「カンバン方式」だ。基本的に自動車会社は車の生産に必要な部品の在庫を持たず、必要な時に必要な量を下請けメーカーに納品させる方法である。そうすれば自動車会社は在庫を持つ倉庫やリスクから解放されて効率的な生産が可能になるわけだ。一方で下請けの部品メーカーは常に指示された数の部品を素早く納品する必要があるので、非常に負担が大きい。ちなみに”カンバン”とは下請けメーカーにとっては部品の納品指示書の役割を果たす伝票のようなものである。

一般的な在庫管理方式といえば、毎月10日などのいつも決まった時に必要な分を発注する定期発注方式や、必要な在庫量を下回った時に仕入れる発注点方式などが知られている。使うものの性質や重要度によって他にもいくつかのやり方がある。その中で企業や商店、一般家庭で使う”生産材”と呼ばれるものの在庫管理に便利なのが「ダブルビン方式」だ。ダブルビンはダブル瓶である。要するに在庫のために2本の瓶を用意しておいて、1本は使用中のものであり、残りの1本は在庫用というわけだ。いま使っている分がなくなって倉庫から在庫を出して来た時に、新たに在庫分を発注するのだ。すると常に1本は予備がある状態になる。”簡易版発注点方式”ともいえる。

家庭でもダブルビン方式を採用すれば「あ、お醤油切れちゃった」などということは起こらないし、胡椒やラー油などの調味料なら1つくらい在庫を持っていても大して嵩にもならずに負担も小さい。そして在庫管理の基本である”古いものから先に使う”という「先入れ先出し法」も自動的に運用できるわけだ。調味料以外にも毎日毎日、ジャンジャンと消費されるわけではない歯磨きやシャンプーなどもこの方法が便利だが、在庫しておくのは最大でも1本というところがミソだ。何本も在庫したところで、いま使用中のものがなくなった時に使うのは1本あれば十分だからだ。在庫が何本もあると場所も取るし、古いものから使うために、その都度生産年月日を確認しなければならなくなる。

生産管理というと工場でしか役に立たないと思うかもしれないが、普段の生活にも生かせるこんな方法を知っておくのも便利かもしれない。

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