自分ファースト

日本で「○○ファースト」が流行り始めたのは東京都知事の小池百合子さんが「都民ファースト」を連呼し始めたころからだったと思うが世界的にはどうなのだろう。米大統領のドナルド・トランプ氏も「アメリカファースト」を連発している。どちらが元祖でどちらが本家なのだろうとどうでもいいことを思ってみたりする。トランプ大統領の考えていることはとても分かりやすい。しかしそれは決して「アメリカファースト」ではなく間違いなく「自分ファースト」だ。彼はアメリカのことなどこれっぽっちも考えていない。自分のことだけだ。

自分が得することだけを考える人の心の中は簡単に透けて見える。人は誰でも自分のことが大好きなので自分の胸の内を見れば容易に想像がつくのだ。その人がどうしてそんなことをするのかというような不可解な行動をとったとしても、その人が得することってなんだろうと考えればすぐに「ガッテン!」だ。だからそんな心構えでコミニュケーションしようとしても自分の企みなどすぐに相手に見透かされる。相手からは「しょせん自分のことなど眼中にないのだ」と思われてしまうのでコミニュケーションがうまくいくわけがない。

全く違うレベルでも似たようなことは起きる。どこででもみられるが契約社員やパートと正社員の関係も同じである。自分の職場に契約社員やパートさんが配属されてくると社員にとっては自分の仕事が軽減されるのでとてもありがたいことだ。しかも配属される人がテキパキと仕事をこなしてくれる人だととても助かる。契約社員やパートさんにしてみれば正社員と比べて自分の立場は不安定なので、社員さんのために頑張って仕事をして戦力として認められれば自分の立場が良くなり有利だと考えるから一所懸命に頑張って仕事をする。ところがパートや契約社員は、無理して自分が仕事をすれば評価が上がるはずだとと思っているかもしれないが社員は別のことを考えていたりする。契約社員やパートさんが無理して早朝出勤したり残業したりされると周りの上司から「パートでさえ社員よりもっと働いている」というくだらない評価が広がったりするのだ。すると社員は「(パートのの奴らめ)余計なことしやがって」と口には出さなくてもそう感じることがある。自分が今よりももっと頑張ることを求められてしまうからだ。

会社では主役は社員で、パートや契約社員は脇役だ。それはどこの企業でも変わらない。だからパートや契約、派遣社員は正社員より目立ってはいけない。実際の現場を廻しているのがパートやアルバイト、契約社員だったとしてもだ。それが会社カースト制度なのだ。自分が得することだけを考えていては周囲に気を配ることはできなくなる。自分のことばかりを考えている人は周囲の反感を買うことになる。

自分ファーストの人の考えは浅はかなのですぐにわかる。自分が得することしか考えていないから他人のことなどどうでもいいのだ。相手のことをどうでもいい人だと思っていたら気配りをすることがなくなる。気配りをしないから嫌われる。精神が幼稚で薄っぺらくペラペラだから腹のうちが透けて見えている。そんな人に誰が好き好んでついていきたいと思うだろうか。

某大統領も自分が再選されることしか考えていないので常に「オレって凄くね?」と何もできていないのに自慢したり「あいつらはオレと違ってバカだ」と虚勢を張って相手を見下そうとする。しかし権力を持った人が身近にいれば「そのうちオレにも恩恵があるはずだ」と思って取り巻きになる人が出てくる。自分ファーストの人間にとっては取り巻きの数も自分の権力を誇示するための材料になるから、常に少しばかりの餌を撒いて引きつけておこうとする。取り巻き達は「そのうちもっとたくさんの餌をくれるに違いない」と期待して取り巻き続けるが、しょせん自分ファーストの人に取り巻き達の心のうちなど慮るはずがない。いずれ捨て去られてオシマイになる運命だ。

自分ファーストの人は自分の味方をしてくれる人だけを可愛がり非難する人には冷たい仕打ちをする。しかし元々頭が悪いので短絡的に良かれと思ってやることが最後にはすべて裏目に出る。世界中に経済制裁を仕掛けたら足元のラストベルト(かつてアメリカを支えていた自動車産業の廃墟)が反対に打撃を受けてしまった。それなのにまだ愚かなリーダーについていこうとする人がいるのは可哀そうであるが、自分たちで選んだリーダーなのだから仕方がないといえばそれまでだ。ほとんど詐欺である。しかし日本は違うのかといえばそんなことはない。アメリカ議会では上院と下院がねじれ状態になったので多少の歯止めが利くようになったが、日本の国会は衆参両院とも独裁政治の様相だ。しかしこれも日本国民が選択したことなので自業自得である。

先日、日本人の俳優さんがオレオレ詐欺の被害を受けたとニュースが報じていた。息子を名乗る人から電話がかかってきて「損害賠償を請求されている」と言われて100万円くらいを騙し取られたらしい。でも考えようによれば息子が損害賠償を請求されるようなことをしでかしたわけではなかったのだから「よかったね」と詐欺師たちは言うのだろうか。自分ファーストの人も似たような理屈で自分を正当化する。そんな茶番はいつまで続くのだろうか。

平成の時代は最後まで”失われた30年”になってしまった。

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