心に刺さる、つかむ、
心に残るキャッチコピーの創作術(2)

■ キャッチコピーはサルでも書ける!?
書店に行けば「グッとくるキャッチコピーの書き方」なんていう本はいくらでも置いてあります。先週もお話したように、成功した(売れた)コピーを見ても発表された後から見れば誰でも考えつくようなものが多いですよね。でも売れたコピーなんてそんなにあるものじゃないんです。とりすなんかが年間通していろいろなCMや広告、雑誌・週刊誌、新聞、ネットを年がら年中漁りまわっていても「これは結構イケてるなぁ」と思うコピーは年間に10数本。その中でも実際に売れたコピーなんて数本です。それこそ広告界のトップコピーライターたちが書いたものであってもです。ほとんど宝くじに当たるようなものです。もっとも「こりゃダメだな」と思ったコピーが大当たりすることもありますからわからないものです。今週も、そんなコピーを眺めていて自分がコピーを書く時の参考になるような視点で、いくつかのアイデアをまとめてみました。

■ 思っていることをつぶやいてみる
Twitterが流行り始めてからもう何年も経ちますが、実はとりすは、トランプ大統領と違ってあんまりTwitterを使っていません。どうしてなんですかね? 自分でもあまり考えたことがないのですが、たぶん、書いた文章を誰が読むのかわからないので、相手の気持ちになって文章を書くことが出来ないからのような気がします。
それはさておき、皆さんはネットでもリアルかに限らず、日頃から何かをつぶやくことってありますか? 「ふーっ疲れた」とか「まったくよぉ」「あーお腹すいた」なんていうのはよくありますが、もうちょっと前向きなのはどうですか? たとえば「寿司食いてぇ~」とか「雪景色って癒やされるね」なんて口には出さないまでも心の叫びのように湧き上がってくることがありませんか? つぶやきって共感を呼び起こす力があるんです。「そうだ、京都行こう(JR東海)」なんて聞くと新緑が眩しい春の嵯峨野の渡月橋と湯豆腐、秋の紅葉が美しい金閣寺の庭園や雪化粧した冬の龍安寺の石庭が鮮やかに瞼に蘇って「オレも京都行こう!」っていう気分になったりするものです。
キャッチコピーやセールスコピーって、受け手の心の中にイメージを作り上げることがとっても大切なので、つぶやきを使った手法は強烈な情熱を呼び起こします。

■ 予言して言い切る
今週はこんなところからです。「言い切る」ということの言葉の強さについてです。言い切るというのは自分で何かを宣言するということに繋がります。「私、7月までに5キロ痩せます!」であったり「私、今年中に結婚します!」などと(誰かに)宣言することで後戻りのできない状況を自分に作り出すわけです。逆に聞き手から見れば、本人がそれなりの覚悟をもって宣言していると感じますから、説得力が高まるわけです。例えばファッション誌などの見出しには「この冬、スエードブーツが来る!」なんてキャッチが並びます。人は他人に自信を持って断言されると、着い信じてしまうのです。しかしダイエット関連の商品などでは医療法や薬事法などで直接の効果を謳うことが禁止されているものもあります。それでも「夏までに、ポッコリお腹にさようなら」などという”宣言”をして言い切ることで、何となく効果がありそうに感じてもらうことができるのです。

■ ハードルや敷居を下げる
これは自分の自尊心を傷つけられないための予防的感情です。ハードルを下げれば「初心者の自分だってやれるに違いない」と思わせることが肝心です。人は誰でも「そんなことも知らないの?」とか「そんなこともできないの?」なんて他人からバカにされるのは嫌いです。例えば、仕事でパソコンのワープロソフトを使わなければいけない部署に異動になったとします。部署の同僚たちは以前から業務でワープロを使っているので使えてアタリマエのように自分に接してくるわけです。ところが自分は今まで使う機会がなかったのでワープロなんてできなくても良かったわけです。ところが今回異動になった部署ではそういうわけにいかないようです。「〇〇さん、この企画書をWordにして30部コピーお願いします」なんて言われて「私、ワープロ使ったことないんです」なんて返事ができますか? 「はぁ?今まで何してきたんですか?今時ワープロなんてサルでも使えますよ」なんて言われたら悔しくて堪りません。「そうだ!サルでも分かるワープロ入門」を読めば自分でもワープロが使えるようになるに違いない、と思うわけです。とりすもサラリーマンになってからこのテの入門書をずいぶん買い込みました。中には「これはサルにはわからないだろう」と思える内容もありましたが、もしかしたらサルには分かるのかもしれません。
その他にも「片付けられない私の~」という風に”多くの人がコンプレックスを持っていそうなところにあえて触れる”というやり方もありますね。またマジックワードにも関連しますが「〇〇するだけの~」というやるべき行動を簡素化してやりやすく感じさせるというのも強力なワードです。

■ 正直に伝える
「何だか胡散臭いな」とか「都合の悪いことは隠してるな」と感じることって多いですよね。人は自分の知らない他人から言われたことには、まず疑ってかかる習性があります。立場が逆だったら、何かを売ろうと思ったとき、あなただって都合の悪いことは言わないでいいことばかりを並べませんか? もちろんウソをつくのはいけませんけど”都合の悪いことは言わない”ことにはあまり罪悪感を感じないんですね。そこであえて自分に都合の悪いことを明かすわけです。すると受け手の心の中には「この人は正直者だ」という感情が少しだけ芽生えます。例えばちょっと気になったアンチエイジングの基礎化粧品。何となく効果がありそうな気はするけど、これに1万円出すのはちょっとなー」と思ったとします。そこに相手が間髪入れずに「正直、少し高いかなって思います。でも使ってみたらびっくりなんです」などと言われると「そうだよね、高いよね、あなたもそう思うんだ」という”自分の味方”を得たような気持ちになって、受け手は相手の言うことを少しだけ信じやすくなります。さらに相手が「他社の基礎化粧品でしたら半額ほどのお値段でお使いいただけますから」と自分が気にしていた部分にズバッと切り込んできます。「だよね、だよね」と受け手は100万に援軍を得た気分です。そこで「それは天然のタマリンドの木からわずかに取れる希少で高価な天然オイルが配合されているからなんです。この成分は従来の成分より5倍も早く角質層に浸透して肌全体を潤してくれるんです」と、さり気なく自分の長所を売り込みます。発信者が最初に欠点を認めると、受け手はその後で述べる長所のことを「本当のこと」として受け取りやすくなるんです。以前に「青汁」が世に出た頃のこと、いかにも悪そうな、人を騙していそうな顔をした俳優の八名信夫さん(悪役商会)がテレビCMでこう言い放っていました。「あー、不味い。もう一杯」

いかがですか? 世の中の広告やCMでもこういった手法を取り入れられたものがあることがお分かりいただけたかと思います。あなたの会社の営業・販促の現場やお店の広告でもこんなやり方を取り入れたキャッチコピーやセールストークを取り入れてみてはいかがでしょうか。