お客様の気持ちになること

何にでもケチをつけてクレームを付ける人がいる。ほとんどは取るに足らない些細なことで、どうしてそんなことですぐに腹を立てるのかと思うことがほとんどだ。しかし一方で「どうしてそんなこともわからないんだ」と思うようなダメなサービスも見かける。それは経験不足で拙いとかそういうことではない。人は初めてやることは初体験だ。誰も2度目から始めることはできない。経験が浅いうちは誰でも拙いし仕方がない。自分にもそんな過去があったはずなのにそれを忘れて腹を立てるのはお門違いというものだ。

反対に、自分がお客としてサービスを受けた時に不満を感じたことはないだろうか。「こいつ、何もわかっちゃいない」と感じることもある。しかしそれもある意味で仕方のないことなのだ。そのお客の不満をほとんどの場合、サービスする側はわかっていない。「お客様の気持になれ!」とはサービス業の現場でいつも耳にする言葉だ。お客様の気持になってサービスをすればみんな喜んでくれると思っている。だからみんなお客様の気持になろうと一所懸命に考えて良かれと思って行動している。ところがそれがお客様に伝わらないことがままある。

試しに、自分が良かれと思ったことを隣りにいる同僚に話してみるといい。半分の確率で「それは違うんじゃない?」という返事が返ってくるはずだ。自分がお客様のために必死になって考えた結果であるにもかかわらずだ。どうしてここまでやっているのに伝わらないのかと悶々とする。ところがひょんな事で他の人がやったことに大喜びすることがある。自分では「そんなくだらないこと」とバカにしていたことをお客様は喜んでいる。それがお客様の本当の気持なのだ。結局、自分はお客様の気持なんて何もわかっていなかったのだということに気づく。

売り手の立場のままでお客様の気持になることはできないし解ることもできない。自分がお客様にならなければわからないことがたくさんある。そしてお客様同士はその気持ちを共有していることが多い。「あれがあればいいのに」「こうしてくれるともっとありがたいんだけど」とお客様はいつも心の中でつぶやいている。つぶやいているが口には出さない、特に日本人は。口に出すときは明らかに自分が損をさせられていたり不当に扱われているときだ。そんな時に売り手が改善することはアタリマエの行動であってお客様が喜ぶようなことではない。お客様が喜ぶのは「さすがこの人分かってる!」と思ったときや「なんでこんなことを思いついてくれたの!」と感じたときだ。自分の想定以上に気持ちをわかってくれたときだ。

本当にお客様の気持を感じたいと思うなら、自分と同じサービスをしている他の場所に行って自分がお客様になってみればいい。客になって客の気持ちでサービスを見てみればいい。きっと今まで見えなかったヒントが見えてくるはずだ。そしてそこで感じたことをすべてメモっておいて今度は自分の行動に活かしていくのだ。

オフィスでいくら考えていてもお客様の気持はわからない。答えは現場にこそあるのだから。

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