君は「草刈り機まさお」を見たか

と偉そうなことを言っているがボクもネット記事でその名前を見たのはつい先日のことだ。俳優の草刈正雄さんはボクの中では中学生の頃観た映画「復活の日」の主人公のままだ。それが今、「草刈り機まさお」となって21世紀に復活している(念の為、草刈さんご自身は「復活の日」以降もあちこちでご活躍されています)。それにしてもとぼけたネーミングだ。この製品はアメリカにも輸出されて向こうでは「ブッシュ(草むら)・カッター・ジョージ」という名前で売られているらしい。彼の地では元大統領になっているらしい。

へんてこりんなネーミングで有名なのは小林製薬だが、今までに日本語と英語の両方のネーミングやキャッチコピーで秀逸だと思ったのはコンピュータのCPU(中央演算装置)で世界一のシェアを誇る米・インテル社の「インテル、入ってる(intel inside)」だ。この短いキャッチコピーの中で日本語と英語の両方で韻(いん)を踏むという離れ業を見たときにボクは密かに喝采を叫んだものだ。先の「草刈り機まさお」を作っているのは「キャニコム」という福岡県の会社である。従業員300人弱の中小企業だが、クボタやヤンマー、イセキといった業界大手が手を出さない小型の運搬機や農機具などに特化して年間に60億円の売上を上げている。

もっともこの会社ではネーミングだけではなく製品開発でも工夫を欠かさない。大手企業にはない細やかな顧客サービスが製品開発の原点にあるという。常に現場に行き、使っている人と直接話をして意見やボヤキを聞く中から新商品のアイデアを集めてくるのだという。スイッチやレバーの位置一つにしても中小企業ならではの小回りの良さで一つ一つの意見を丁寧に検証して製品の開発や改良に活かしている。このような努力の裏付けがあってこそのネーミング戦略というわけだ。

中小企業ではネーミングやニッチな分野で尖って突き破った商品やネーミングでマーケティングをする会社がある。島根県にあるお菓子メーカでは「ゴリラの鼻くそ」というお菓子を作っている。北海道の旭山動物園、上野動物園をはじめとして日本各地の動物園の売店で売られている。この商品が街のスーパーで売られていてもなんとも思わないどころかちょっとゲテモノに思うかもしれない。しかし”動物園の売店”というニッチな販路に限定すればとたんに話題性のある”おもしろお菓子”に変身するというわけだ。もっとも奇をてらった商品なので後から同じことをしてもブレイクするとは限らない。事実、その後に出したパンダの鼻くそ、ペンギンの鼻くそなどはさほどヒットしなかったらしい。

ゴリラの鼻くそに限って言えば、元は社長の奥さんの実家で作っていた黒豆の甘納豆だそうだ。もちろん地方都市でほそぼそと(失礼!)甘納豆を売っていても大した儲けにはならない。ある日、地元の仲間たちとお茶を飲みながら雑談していた時に誰かが言った「これってゴリラの鼻くそみたいだな」がヒントになって商品化したらしい。なかなか大手ではやらない手法だろう。先に名前の出た小林製薬もネーミングをマーケティングの一つの武器として社員全員から毎月新しいネーミングを募集して新製品を発売しているという。

しかし残念なことに大手の販売する”おもしろネーミング商品”は名前だけの面白さで中身が伴っていないことが多い。それは大手であるがゆえに大量生産が必須であり商品開発に小回りがききにくいという事情もあるのだろう。製造ラインを組み替えるとなれば数千万円、数億円という経費がかかることもあり、作業員の作業を変更するにもそれが行き渡るまでに長い時間がかかったりするため、おいそれと変更することはできない。そこが大手企業に比べて中小の有利な点になることもある。

最終的には消費者、利用者がほしいと思う製品・商品を作り出した上で効果的な演出でマーケティングをすることが中小・零細企業の生きていく道なのだろうと思っている。

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