頭が切れる人

何かが起きるとすぐに対応を考え始める人がいた。
もちろん最初に考えつく対策は稚拙で抜けの多いものには違いないが、問題が起こった時「どうしよう、困った」と悩むのではなくすぐに気持ちを切り替えて「解決するためにはどうしたらいいのだろう」と考え始める姿勢を見ていつも「頭の切れる人だなぁ」と思っていた。

一方で起きた事態に悩んで「何が原因なんだ!」「誰が悪いんだ!」と周囲にアタリ始める人はたくさんいた。もちろん対策を講じるには原因を調べて改善することは重要だ。しかし今は現場で事件が起きているのだ。再発防止も大切だがまずは事態を収拾することを最優先しなければならない。平時の運用に戻すことを考えるべきときだ。混乱した状態でいいアイデアは出てこない。

店で売った商品が不良品だったとクレームを言ってきたお客に「二度とこのようなことは…」「対策をします」と言っても意味がない。まずは売ってしまった不良品をキチンとしたものと交換してお客の不満や不都合を解決しなければならない。以前勤めていた店で不良品を返品に来たお客に「私ならこんな不良品は売りません」などと言ってお客を激怒させた社員がいたが、お客がなんで怒っているのかさえ全く解っていないのだ。まぁいい。

「困った困った」と下を向いていても事態は1ミリも改善しない。最善の解決策をすぐに思いつかなくても問題の解決に向けて何かを考え始めることで、次のアイデアを生み出す土台になるかもしれない。そのためにはまず解決の最終形をイメージしてその目的に近づくための方策を考えていく。近視眼的な対策を取ることは直ぐに目に見えて誰からも評価されやすいが目的とは違う方向に走り出してしまう事があるので注意しなければいけない。「下手な考え休むに似たり」と言われるゆえんである。そのような眼の前しか見ていない対策は何も考えずに反射的にやってしまうことが多い。後からよく考えれば「なんであんなことしたんだろう」と気づくはずなのだが、反射的にでも”対策をとった”と思ってしまうことで更に深く考えることをせずその間違いにすら気づかないことは多い。

失敗の対応をするにせよ成功を目指して努力するにせよ、常に「目的」を見据えていることがいちばん大切だ。目的地に早く到着しようとする気持ちも大事だがそもそも目的地に着けなければ意味はない。最優先すべきことは「目的地に着く」ことで「より早く着く」ことはその次の目標だ。優先順位を間違えると最初の目的すら見えなくなってしまうことが多い。それを世間では「下手な考え」という。

しかし考えつくことが”下手な考え”になるのか目的に近づく糸口になるのかは、その人が普段からどれだけ物事を真剣に考える習慣を持っているかどうかで決まる。”いい考え”は普段何もしていないボーっとしている人からいきなり出てくるものではない。常に”頭の体操”を心がけて頭の訓練をしていなければいけない。避難訓練や予行演習をバカにする人がいるが、全くの初体験なのか訓練であっても一度経験しているかは大きな違いである。

もちろん本番になれば訓練では起きなかった様々な障害や事件・事故が起こることもあるだろう。アクシデントは突発的に発生するがそれ以外のことを初体験でオロオロとこなしている人に比べたら心と頭の余裕が違う。「オレは本番に強いんだ」という人もいるがその人が前もって準備をしていたならもっとスマートで素晴らしいアイデアを思いつけたかもしれない。それは自分にとっても宝の持ち腐れだ。

”頭の悪い人”とは何の工夫もしようとしない人のことだ。学校でテストの点数がいいとか有名大学を出ているとか仕事の要領がいいかなんて全く関係ない。どこかで壁に当たるとすぐに「できません」と言ったり「どうしたらいいんですか?」と他人に聞こうとする人だ。まずはどうしたらできるようになるか自分で考えてみることである。

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