中立であることが信用される原点なのだ

家電量販店などに行って電化製品などを見ているときに店員さんが側にやって来て「今の一番人気はこちらですね~!」と明るく言われた経験はないだろうか。最近では家電製品もネット販売が多くなってきてまずはスマホやパソコンでめぼしい商品を比較して口コミなどを見た上で「やっぱり実物も見てみないとね」ということでお店に足を運ぶことも多いだろう。当然前もっていくつかの候補を比較して性能もチェックしているので店員さんの説明を鵜呑みにする人は少ないのだが、それでも早口で”おすすめ商品”を強力に推してくる店員さんがいるのも確かだ。

「ほけんの窓口」という保険の代理店窓口はご存知だろうか。最近では「保険クリニック」などの似たような名前のサービスも数多く登場してきている。従来は日本生命や第一生命、住友生命などの代理店が自社の商品だけを売っていたのだが、これらの代理店は複数の保険会社の代理店を兼ねていてお客様のニーズに応じて”最適な”保険を選んでくれるというところが大きなウリになっている。

もちろん彼らも何らかの収入で会社を運営しているので扱っている保険会社に対して完全に中立な立場を保っているのかといえばそれはわからない。事実、数年前には保険契約が締結されたときのキックバック手数料が高い保険会社の商品を優先的に勧めていたということが明らかになって問題になったこともあった。彼らにしてみれば”中立である”ことが一番の売りだったのでこの事件は評判を地に落とすに足る十分なダメージを与えた。その後彼らがどのように対応し汚名返上に努めたのかはわからないが、一頃のように代理店の店頭に行列ができるようなことはなくなった。

我々消費者からみれば何かの商品を買おうと思った時にはいくつかの商品に的を絞った上でその性能やコストパフォーマンスを比較することが一般的だ。お金を出して買うのなら損をしたくないというのは普通の感情だ。しかも一般的に家電製品や生命保険、家、車などは安い買い物ではない。購入にあたってはかなり慎重になる。

しかし高価で複雑な商品になればなるほどシロウトが細かいところまでを熟知して比較することは難しくなる。家電製品程度ならまだしも生命保険などになると「特約」や支払い条件などがほとんど読めないような小さな字でびっしりと書かれておりそのすべてを把握することは現実的に不可能だ。だからこそ代理店などの専門家の意見を参考にするのだが、基本的に彼らはメーカーや保険会社の「手先」である。自分の会社の商品を売るのが彼らの仕事であり他のメーカーに”勝つ”ことが彼らに与えられた至上命令だ。

しかしそんなことは消費者からみればどうでもいいことで、自分にとって一番有利な得するものを手に入れたいだけである。そんなときに売る側に何らかの力がかかって公平な評価がされないということはその専門家を信用できなくなる大きな要因だ。言い方は悪いが、買う側がわからないのをいいことにあまり良くない商品を”売りつけられる”ことになりかねない。

だから自分が信頼に足る専門家として評価されたいのなら消費者に対してできるだけ多くの選択肢を用意して紹介した上でその選択肢に対して公平に評価した結果を詳らかにする必要があるのだ。つまりどこかに偏った発言をすれば利害関係を疑われて信用されなくなる。

ただ専門家から見ても「これが一番いいと思う」というものが存在することはある。他の商品と比較しても一歩抜きん出ているものだ。最近ではネットの口コミサイトに載っている”自称”シロウトの意見を参考にすることも多いがこれが正直な意見だったとしてもあくまでシロウトの意見である。これを鵜呑みにすることは間違いも多く視野も狭くリスクが大きい。できることならもっと広い視野で見た専門家の意見も聞いてみたいわけだ。

だから自分が”本当にいい”と思うものを勧めるときには特に慎重にならなければいけない。その対極にあるものやその他のものも公平に評価して、なぜ自分はそれがいいと思うかを論理的に誠実に説明しなければ人からは信用されない。

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