なによりも就活が大事です

「何のために大学に行くのか?」という話題自体が最近では下火になって誰もがアタリマエのように大学に進学するようになっている。折しも少子化で大学受験は売り手市場だ。学校側も少しでもたくさんの学生が欲しくて仕方がない。昨今の日本ではいい会社(?)に就職するためにはいい大学を出なければならない。そのためにはいい高校を、いい中学校を、いい小学校を、いい幼稚園を、いい保育園をと親も躍起になって「お受験」が盛んだ。しかし大学や大学院を出て会社に就職してくる新入社員の質は昔から大して変わっていない。赤ん坊の頃から英才教育をされているならもう少し変わっていても良さそうなものだが10年いや30年一日のごとく全く変わらないのはどういうわけなのだろう。

中にはものすごく優秀な学生がいて大発明をしたり世の中に貢献しているのは昔から変わらない。昔も優秀な学生がいたように今でも優秀な学生がいることは確かだ。いやその人たちのことを言っているのではない。大学生の大多数を占めるフツーの学生のことである。

そもそも高校や大学はその名が示すように高等教育を受けられるところである。もっとも半世紀も前から高校への進学率は90%を超えていた。世間も「高校くらいは出たほうが」という風潮になり戦後しばらく経つと勉強の好き嫌いにかかわらず高校に行くことはアタリマエになった。子供も嫌々ながら学校でテストを受け「こんな事やって何の役に立つの?」などと不平を言いながら学校に通うようになった。

高校生活も終盤になると就職組と進学組に分かれた。「勉強はもういいから早く社会に出たい」という子供と「興味があることをもっと勉強したいから」と大学進学を目指すものだ。いやもう一種類いた。「まだ働きたくないからとりあえず大学に行く」という子供である。たぶん進学するほとんどの子供はそう思っていた。

大学での4年間、とりあえず学校に通ってせっせと単位を取った。勉強が好きだから、ではない。学校を卒業するためだ。サークル活動やバイトに明け暮れて通学定期すら買わず週に1~2日だけ切符で通う学生すらいた。そんな学生が4年間をボーッと過ごしたところで独り立ちできる人間になるわけがない。そんな”歳だけとった”高校生が新入社員として「大学卒でございます」という顔をして入社してくる。遊びを覚えた分だけ世間擦れしたわけだ。

今では大学生は2年生ころから就職活動の準備をしないとダメなのだという。そうしないと就活の波に乗り遅れるらしい。うまく波に乗れば一流企業に就職するためには有利なのだという。しかしここで学生たちの言う「一流企業」って何なのだろう。都心の大きなビルにオフィスを構え数千人、数万人という社員を抱え、月給が高く、他人から「凄いね!」と言われる会社のことだろう。でもそこには「自分がやりたかったこと」というパラメータは全く含まれていない。もっとも本人が「入れてくれるなら何でもやります」というのならそれもいいだろう。人の価値観はそれぞれだ。

しかしそもそも論で話をするなら、そんなに大学生活を削って就活をするなら「そもそも大学なんていらないんじゃないの」ということだ。就職準備予備校を作って事務能力を身に着けさせて企業の即戦力として役立つ人材を育成したほうが無駄がなくていい。それには4年間もかからないはずだ。就職活動を入れても長くても2年あれば十分である。

一番ダメなのは企業側だ。企業の採用担当者はたいてい大学卒だ。そんな人間だから人を見る目が曇っている。自分で人を判断できないから学歴だけを偏重して人間を判断する。高卒よりも大卒の方が偉いと思っている。その考え方の根本には「学問は崇高だ」というコンプレックスと思い違いがある。

学問なんて崇高でもなんでもない。学問が好きで研究をしたい人間だけが大学で研究すればいい。学問が尊くて肉体労働が卑しいという考え方が日本の教育をダメにしている。
大学でやったことなんて社会に出たらほとんど役に立たないことばかりだ。使えるのはせいぜいパソコン操作くらいである。高校の商業で習うこともできる「簿記」の方がよっぽど役に立つ。

就活に精を出す学生たちは「早く就活なんか終わらせてキャンパスライフをエンジョイしたい」という。自分が存在する意味すら考えたことがないかも知れないが彼ら彼女らも大人の勝手な思惑と勘違いの犠牲になっている。

大企業は学歴に拘って大切なところを見逃している。画一的に教育された従順な若者だけをありがたがって、自分たちに少しでも意見するものを受け入れようとしない。自主性を重んじると標榜するくせに多数意見に共鳴しない人間には冷たい。大切なのは自分で何らかの行動を起こす力なのだということが全く分かっていない。

もっとも自分たちがそんな教育の中で作り上げられたロボットなのだから無理もない事なのだが。

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