ものごとの理由(わけ)

書店を覗くと「サルでも分かるワード」や「好かれる人のモノの言い方」などのいわゆるハウツー本が大人気だ。”How to”、つまりは「やり方」を記した本だがその歴史は長い。ボクが子供の頃にも「間違いだらけの車選び」とか「ガールフレンド~今年の冬はこんなデートで決まり!」などという本や雑誌がいくらでもあった。詳しいことはどうでもいいけど「結局どうするのが良いわけ?」という人はとりあえずハウツーを知りたがる。

Webや本を見ればいくつかのやり方はすぐに見つかる。それが正しく効果のあるやり方かどうかはわからないが誰かの「こんなんでいいんじゃないの?」という無責任な情報ならすぐに手に入る時代だ。だから誰かと話をしている最中でもスマホでネット検索して”素晴らしい解決法”を教えてくれる人は多い。

なぜそのやり方がいいのかも説明しているサイトや本もあるが多くは書きっぱなしだ。だから「なぜ?」と聞き返されると返答に困ってしまう。

課題を解決する方法は時と場合によっていくつもある。その方法のいくつかは実際に困難に直面したときに「理由はわからないがこうやったらうまく解決できた」という経験に基づいたものもあるし「このやり方をすればこういう結果になるから解決できるはず」という論理的なものもある。

中でも説得力があるのは「こうしたらうまくいった」という経験と「なぜなら、そうすることで〇〇を強化することができて△△を改善できたためにに効果があったからだ」という検証がされている場合である。何かをやった結果について論理的な説明がついていることは多くの人を説得する力がある。

もちろんその論理が間違っている場合もある。しかしたとえ間違っていたとしても論理的に筋が通っていればあとになってからどこが間違っていたのかを検証することができる。検証することができるから当てずっぽうの行き当たりばったりとは違うわけだ。

今年は大型で強い台風がたくさん発生している。台風は熱帯低気圧の一種である。低気圧がやってくると天気が悪くなることは誰でも知っている。しかしなぜ低気圧が来ると天気が悪くなるのかを論理的に説明できる人は少ない。前線も同じだ。前線があると天気が悪くなるが「前線とは何なのか」「どうして天気が悪くなるのか」を説明できる人は少ない。でも基本的な原理はそれほど難しくない。いや一つ一つは簡単で単純な原理で説明ができる。

低気圧は太陽の熱で暖められた地表の空気や水が蒸発して上昇気流を作ることで生まれる。地上の空気が上昇してしまえばその場所の空気は薄くなる。空気が薄くなるということは気圧が低くなることである。それが低気圧だ。上昇していった空気や水蒸気は上空で冷やされて雲になり水や氷になって地上に降ってくる。なぜ上空に行くと冷やされるのかというと実は冷やされるのではない。自分で冷えるのだ。上空は地球の引力が弱いので空気が薄く地上に比べて気圧が低い。気圧が低いから上昇していった空気は膨張する。中学で習ったボイル=シャルルの法則によって気体は膨張すると温度が下がる。温度が下がると気体に溶けられる水分の量が減る。冬に冷えた窓の内側が結露するのと同じ原理だ。だから空気に溶けていられなくなった水分が水や氷になって雲を作るのだ。結果、低気圧になると雲が増えて天気が悪くなる。

何であれ結果やそのやり方だけではなく「なぜそうなるのか」の論理的な理由を理解してこそ知識は初めて自分のものになる。もちろん問題と解決策だけを知っていれば事足りることもあるだろう。面倒くさいことは抜きにして「結局何をすればいいわけ?」と言いたくなることもある。でもその理由がわかればものごとの理解はもっと深まり株価や為替の乱高下や世界情勢の理解を深めることにも役立つかも知れない。

結局は根本的な原理を知らなければ物事を知っていることにはならない。

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