昭和の写真館

デジタルカメラや携帯電話・スマホのいわゆる「写メ」の爆発的な普及でフィルムカメラはもちろんのこと街の写真館も絶滅危惧種になってしまった。ボクの地元でも駅前に2軒あった写真館は2軒とも4~5年前に廃業した。かつては七五三、新入学・卒業、結婚、還暦、金婚式など人生の節目には写真館で記念写真を撮るという人も多かった。

ボクがかつてホテルのブライダル課に勤めていた頃、業者としてホテルに入っていた写真館がある。ホテルを辞めた後も細々と交流があり先日も写真館の本店に伺う機会があった。当時の社長は既に引退されて今では当時の現場でエースとして活躍されていた方が写真館を買い取ってあとを継いでいる。今ではホテルの常駐も辞めて自らの写真館や出張撮影に絞っているらしい。

以前から証明写真などは街角のスピード写真で済ませる人も多く写真館での需要はさほど多くなかったという。子供の七五三は大きな需要があったが最近ではレンタル衣装とセットになった子供向けの写真スタジオが人気で写真館にやってくる人は一握りになってしまった。それでも古くから付き合いのあるお客さんが七五三の写真を取りに来たついでに「せっかく大人も髪をセットして綺麗な服を着てやって来たのだから」と結婚記念の写真も撮ってみたり家族写真を残そうという人もいるらしい。

数年前に行政で「個人番号カード」が導入されたときには年配者の需要でバブル景気があったらしいが今ではそれも沈静化しているという。

それに代わって最近増えてきたのが「終活」に関係した「遺影」の撮影なのだそうだ。自分が死んだときに葬式で使ってもらえるようにと前もって撮っておく人が増えているという。遺影は何も直近に撮影したいわゆる”近影”である必要はない。ただあまりにも子供の頃の写真だったり若い頃の写真では故人の人柄が感じられなかったりするので、60~70歳前後のまだ若く健康なときの姿を残しておくのが好まれているという。

病を得て顔色も悪く不健康な自分の姿を見て欲しいという人は少ないだろう。また高齢になればなるほど自らの交友も少なくなり直近の自分の姿を見ている人も少なくなる。まだ体が元気で多くの友人達と会っていた頃の姿のほうが多くの人に馴染み深いはずだ。

そんなこんなで孫の七五三とお爺ちゃんお婆ちゃんの遺影というのが一つのブームになっているのだという。孫と爺さん婆さんの需要が重なるというわけだ。人間万事塞翁が馬である。

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