先住民族って誰のこと?

賃貸住宅に引っ越しをしたとき、前に住んでいた人を”先住民”と言ったりする。以前その部屋や家に住んでいたが今は転居して他の場所で暮らしている人のことである。

北米・南米大陸や大航海時代に西洋諸国の植民地になったフィリピンや南太平洋・ポリネシアの人々も、侵略者による植民地政策で後から移住してきた人たちに対して”先住民族”などと言われることがある。しかしその人達は決してその土地を捨てて出ていったわけではなく侵略者によって弾圧され殺戮され、ときには奴隷にされてもその土地に残って住んでいる人たちだ。

アメリカ合衆国は移民の国だと言われている。しかしもともとはインディアン(この呼び方も相当に変だが)が住んでいた土地だ。それを西洋人は「新大陸」だといって一方的に侵略した。インディアンたちにとっては新大陸でも何でもない。ずっと前からそこにあった土地だ。後からやってきて前から住んでいた人たちを排除して自分たちのものにしてしまった”侵略者”に「今まで住んでいた人」呼ばわりされるのは心中を察して余りある。その上、多くの病原菌まで持ち込んだせいで絶滅してしまった民族も多い。

先住民とは”以前に住んでいたが今は住んでいない”人のように聞こえる。しかし環太平洋を始めとしたかつての西洋大国の世界各地の植民地には、移民たちとの混血は進んでいるものの今でも”先住民”は暮らしている。

日本人や欧米人を始めとした私たち先進諸国から見れば「先住民族」であっても彼ら彼女らから見れば、その地では自分たちのほうがよほど長い歴史を刻んで暮らしてきたわけである。後からノコノコとやってきた民族にとやかく言われる筋合いはないと思っているかもしれない。

”自分の立場”とは多くの場合、自分が見た自分の立ち位置であって相手から自分を見たときには正反対であることが多い。高い位置から鳥の目になって俯瞰(ふかん)することは多くのことに先入観を持たず、客観的な判断や考え方をする上で欠かせない視点だと思うのだ。

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