風速60メートルって?

先日の台風21号は大阪をはじめとした近畿地方に大きな被害をもたらした。ボクはたまたま沖縄に来ていたのだがテレビのニュースでは1日中台風の話題で持ちきりだった。もっともその2日後には北海道で巨大地震と大規模停電が発生したためニュースの現場もてんやわんやだったようだ。

ご存知のように沖縄地方には毎年強力な台風がいくつもやって来る。最大風速も30m40mは当たり前で、時には60m近い風が吹くことも稀ではない。言ってみれば普段から今回近畿地方を襲ったような台風に晒されているところだ。

その人たちが今回のニュース映像を見て口を揃えていうのが「ナメてんじゃねぇか?」なのだ。

沖縄では気象庁が事前に「暴風警報」を発令すると翌日の公共交通機関は全て運休し、役所や学校、民間の会社も休みになる。ベランダに出してあるものは全て室内に入れ、自動車も風の被害を受けにくいところに移動させる。港の船は陸に上げて固定するか岸壁にロープで強固に固定する。そう言った準備を数日前から行うのが常識になっている。それでも強力な台風に襲われれば街中に立木が倒れて通行止になることもある。

そんな彼らから見れば何日も前から予想され報道もされていたのに暴風雨の中を平然と自転車に乗っていたり「仕事ですから」と車で出歩いている都会人に対して「ナメんなよ」と言いたくなるのだろう。それは恐らく我々が猛烈な暴風の本当の怖さや凄まじさと身をもって体験したことがないことに起因している。

風速60メートル、時速に換算すると200km/hを超える。こだま号しか止まらない新幹線の駅を高速で通過するのぞみ号を見たことがあるだろうか。それは離れていても鳥肌が立つようなスピードだ。風速60mはそれが生身の体にぶつかって来るようなものなのだ。

かつて社員旅行で広島に行った時、もちろん平和祈念公園や原爆ドームも見に行ったのだが、ボクは柳田邦男氏のドキュメンタリー小説「空白の天気図」の舞台にもなった旧広島気象台を訪問したことがある。その中は記念館になっていて暴風体験コーナーがあった。

言うまでもなくそこは原爆投下時の爆風の威力を体験するために作られた施設なのだが、原爆直後の9月17日に広島を襲い、最低気圧856hPa(ヘクトパスカル)、最大瞬間風速75m/sを記録した上に甚大な被害を出した枕崎台風の暴風雨を体験することもできる施設だった。

施設では安全のために風速18m/sまでしか体験することができなかったが、実験装置に入って秒速18mの暴風をまともに受けたボクは一瞬で吹き飛ばされそうになった。設置されていた手すりに掴まって何とかこらえることができたが恐ろしい体験だった。60m/sといえばこれの3倍以上の風速である。何かに掴まって助かるようなレベルではない。恐ろしくて考えたくもない。

これから頻発することが予想されるスーパー台風は風速100m/s以上にもなるのだという。100m/sといえば鉄筋コンクリートの建物が吹き飛ばされるほどの威力があるという。当然ガラスサッシなどひとたまりもない。

最近の日本ではそれに近いような自然現象が頻繁に起こるようになってきた。これからの日本はどうなってしまうのだろうか。少なくとも自分が経験してきたことだけが起きる時代ではなくなってきた。せめて他山の石を自らのものとして対処する想像力が全ての人に求められる時代になってきたことは疑いようがない。

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