困っていなければ何もしない

今年は風疹患者が増加しているという。国立感染症研究所の調べによれば今年になってから9月までの累計患者数は全国で360人を超えているという。風疹は妊娠中の女性が罹患すると胎児に先天性の障害を残すことのある病気だ。心臓や脳、聴覚などに障害を引き起こすことが知られている。政府は感染の拡大を抑えるためにも予防接種を受けることを勧めている。

しかし予防接種を受けた人は対象者の1%未満でほとんどいないらしい。
今年の累計罹患者は全国で累計360余人である。この数字をどう見るか。例えば東京都の人口は1300万人余りだ。患者が全員東京に住んでいてまだ誰も風疹が治っていないとしても0.0028%、10万人に3人程度の計算だ。ボクの住む神奈川県平塚市の人口が26万人弱、東京都世田谷区で約90万人。多く見積もって単純計算で平塚市で8人弱、世田谷区全体で30人程度の患者がいることになる。

南青山や六本木、代官山の街を歩いて、自分の知っている芸能人と会う確率はどれほどのものだろう。人にもよるが有名無名合わせれば数100人の芸能人は知っているのではないだろうか。しかし街中で彼ら彼女らに会うことはほとんどない。それどころか子供の頃から育った地元の街を歩いてもそう頻繁に知り合いに会うこともない。小・中・高校の友人や近所の人を合わせれば数千人はくだらないのにである。

もちろん風疹患者が人口に比べて少ないから予防接種を受けなくてもいいと言っているわけではない。しかし自宅や親戚、友人、職場に妊婦がいなければ、ほとんどの人にとって数千円から1万円近い費用を出して自ら予防接種を受ける動機が湧かないのはある意味仕方のないことかもしれない。

風疹に罹患して一番困る人は妊婦とその胎児だ。健常な普通の人はたとえ風疹にかかってもそんなには困らない。だから進んで予防接種を受けようとはしない。これが即座に自分の命に関わるような病気であれば政府に言われずとも診療時の前に長い行列ができるに違いない。

ほとんどの人は自分が困っていなければ何も行動しない。困っていない人は自分にとって何かいいことがなければほとんどの場合は何もしないのだ。それを考えるのがマーケティングである。

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