タイムマネジメントをしていますか?

タイムマネジメント:直訳すれば「時間管理」。今ある時間をいかに有効に効率よく使うかのテクニックとしてよく話題に上る言葉です。今回はそんな時間活用法とはちょっと違う視点から「時間」を考えてみようと思います。

■ 時間についての真実
「時は金なり」とはよく言われます。”忙しい”、”時間が足りない”とは経営者・ビジネスマンの共通の悩みかもしれません。そんな彼らの多くが自分の仕事の問題を話すとき、異口同音に「いつも”火消し”に追われてるような気がするんです」と言います。
タイムマネジメントでよく話題に上がるのが 「効率性(efficiency)」 「有効性(effectiveness)」 です。

効率性とは 、適切物事を行うことであり
有効性とは 、適切物事を行うことです。

効率性は一定時間にこなせる仕事の量を増やせるので一般的には積極的に改善に取り組まれています。一方の有効性は、やった物事が有用な結果を生み出せるかどうかに焦点があてられます。そしてもう一つの重要な要素が「優先順位」という問題です。「やることに優先順位をつけることでやるべきことを整理する」という意味でタイムマネジメントでも頻繁に話題になりますが、面白いのはここからです。私たちがやるべきことを4つに分類してみると

1.重要で緊急なこと
2.重要だが緊急ではないこと
3.重要ではないが緊急なこと
4.重要ではなく緊急でもないこと

となります。あなたがこれに優先順位をつけるとしたらどういう順番になりますか? 一番優先順位が高いのはやはり「1.重要で緊急なこと」で異論はないと思います。では2番目はどうでしょう? ”緊急”にやらなければいけないことが2番目に来るのではないでしょうか? そうすると優先順位は「1→3→2→4」というのが妥当と考える人がほとんどでしょう。
ここで問題になるのは「2.重要だが緊急でないこと」です。前に「いつも火消しに追われている」原因は1.と2.ではありませんか? そして「2.重要ではないが緊急なこと」は本当にあなたがすぐにやるべきことなのでしょうか?

■ 1日は誰にとっても24時間です
あなたには今日やるべき予定が7つあったとしましょう。それに次のように時間を配分する予定を立てたとしましょう。

・仕事:8時間
・家族との時間:1時間
・家事:2時間
・趣味:2時間
・自己啓発活動:2時間
・運動:1時間
・睡眠:6時間
・食事・洗面・お風呂など:2時間

ところが仕事で緊急の作業が発生して1時間が余計に費やされたとき、あなたはどうしますか? 他の予定を立てていた分から借りてくるしかないですよね。あなたもとりすも1日は24時間と決まっているからです。過去の歴史上の偉人たちだって24時間でした。
それぞれの作業をコップに例えたとしましょう。そこに注ぐ水の量がその作業に費やせる時間です。コップに注げる水の総量は24時間と決まっています。他から持ってくることはできません。そこで世の中でよく言われる「タイムマネジメント」の出番です。それは一言で言えば「時間内により多くのことをするために速いスピードで仕事をするべきだ」という意味にとられています。
でも真実はこうです。「人は”実際は”時間をマネジメントすることはできない」ということです。人は努力してより速いスピードで働くことはできますが、時間はあなたやとりすが何をしようとそれに関わりなく一定のペースで流れていくだけなのです。私たちにできることはセルフコントロール(自己管理)だけです。つまり誰にでも全く平等に与えられている「時間」に優先順位をつけることならできますよね。先ほどの7つの予定に時間を割り振ったことも優先順位をつけたことの一つの結果です。

■ 何を優先するべきなのでしょうか?
ここで先に説明した4つの基準が出てきます。

1.重要で緊急なこと
2.重要だが緊急ではないこと
3.重要ではないが緊急なこと
4.重要ではなく緊急でもないこと

4.は、まぁいいでしょう(笑) 問題は2.と3.です。どういうことかというと「緊急なこと」だけに囚われてしまうと本当に大切なことが見えなくなるということです。個人的な生活での時間の使い方は人それぞれの信念や価値観によって大きく左右されますから。
ここでは仕事の話に置き換えて考えましょう。昔、とりすは社内のシステム管理を任されていたことがありました。社内に1,500台ほどあるコンピュータの不具合やセキュリティ対策などを行う部署です。毎日ひっきりなしに不具合の連絡や問い合わせが入ってきました。問い合わせてきた人に、どこの部署のどのパソコンで機種は何なのか、ソフトは何が入っているのかなどを聞いてから不具合の状態を尋ねるわけです。社員のすべてがパソコンに詳しいわけではありませんでしたから事情聴取だけでも非常に時間のかかる作業でした。そしてほとんどの場合は電話だけで済むことはなく現場に出かけて行って緊急対応するという毎日でした。問い合わせも対応もひっきりなしでほとんどの人が「緊急だ!」というので根本的な対策を行う時間もなく毎日が過ぎていきました。
ところがある日現場で対応していた時のこと、パソコンの持ち主は「緊急に直してもらわないと困る」と言っていたにも関わらず、対応作業中にそのパソコンの持ち主は急に外出してその日は事務所に戻らないことになった、というのです。つまり大して緊急ではなかったわけです。そこで思いつきました。これからは本当に緊急にやらなければならない作業だけをおこなって、空いた時間を使って対応時間を短くできるシステムを作るということです。

■ 5つの許し
今までは「重要ではないが緊急」という作業に追い回されていましたが、それを見直そうと思ったのです。その基準になったのが

削る(無視することを許す)
本当にやらなければいけない作業なのか。
自動化する(時間と資金の投資を許す)
時間とお金を投資して明日の時間を収穫する。
今日、1時間の時間を投資することで明日以降により多くの時間が取り戻せるなら
今日の1時間を投資する価値はある。
任せる(不完全を許す)
自分でなければできないと思うな。
最初に自分が作業する時間の30倍の時間をかけて他の人を教育する。
やっているうちに自分がやるよりずっと上手くできるようになる。
先延ばしする(未完成を許す)
本当に今やるべきなのか?
一度決めたことが覆されて無駄な作業が発生するなら
やるべきタイミングまでやらない
集中する(守ることを許す)
収穫期には集中して時間をかけてでもやる。
そのおかげで他の日に時間ができるのなら。

という5つのポイントです。これらの基準に当てはめて自分がやるべきことを整理して優先順位をつけました。「緊急だが重要ではないこと」を他の人に任せたり後回しにして「緊急ではないが重要なこと」に手を付けたのです。

■ 時間にこそ投資する
とりすが実行したのは「時間を投資する」ということです。会社のパソコンは基本的にネットワークに繋がっていますから各パソコンの状態や情報を自動で集める仕組みを作りました。そうすると問い合わせがあっても現場まで出向いて対処する回数が激減しました。もちろん激減したのは「重要ではないが緊急」だと言われて追い回されていた作業です。緊急ではないが重要なことを優先する(時間を投資する)ことで重要ではないが緊急なことをやる時間を省いて時間を回収したわけです。
ちょっと説明しただけではわかりにくい概念ですので、この件についてはまた機会を改めてお話ししたいと思います。