なぜニンジン1本をパックするのか?

世界中でプラスチックごみの増加が問題になっている。特に海洋汚染が深刻だという。それはゴミの不法投棄の問題だけではない。もちろん廃棄されたゴミが原因なのだがその行方は最後は海になるらしい。
プラスチックはどんなに小さく粉砕されても自然に分解されることはほとんどなく、微細な粒子になって海や土壌に蓄積される。マイクロプラスチックと呼ばれるが地球上にどの程度存在しているのか詳しいことは分かっていない。海洋に漂うプラスチックごみは大小含めて1,000万トン以上と言われ、それらもいずれ紫外線などで脆くなり波に揉まれてマイクロプラスチックになっていく。

先シーズンの冬は最近にしては割と寒さが続き日照時間も短かったので農作物の生育も悪かったらしく市場でも野菜の高騰が続いた。ニンジンやジャガイモは一昨年の北海道や東北、九州などの産地の台風被害などで品薄が続いていたこともあって価格の高騰に拍車がかかった。白菜や青物などは気軽に買えなくなったので我が家でも鍋の出現率が激減した。根菜など以前は数個ずつビニール袋に入ってパックで売られていたものが、数個セットにすると500円近くになってしまうため木箱に直に置かれて個売りになっていた。別にパックされていようが個売りだろうが使う時には一緒なので何ら問題もなかった。

ところが、である。最近のスーパーの棚を見て驚いた。なんとニンジン1本がビニール袋に入れられて売られているのだ。セット売りでもパック売りでもないのにニンジンが1本だけビニール袋に入っている。これはどういうわけか。ビニールに入った個売りである。使う時にわざわざビニール袋を開けてゴミを捨てる手間の分だけ無駄だ。何を考えて包装したのか訊いてみたいところだが生憎近くに責任者らしき人もいなかったので訊きそびれてしまった。

とかく日本の過剰包装は話題にもなるが最近では問題として捉えられることのほうが多い。端的に言えば必要のない無駄なことだということだ。実際に日本以外の国のスーパーで野菜がビニールや発泡スチロールのパックで売られているところを見たことがない。袋に入っているのはジャガイモ10kgとか玉ねぎ10kgなどの麻袋くらいである。ニンジンやズッキーニ、ナス、トマトなどは棚の上の箱に直接ゴロゴロと入って売られている。
日本のスーパーのレジではバーコードを読み取るからかもと思ったがビニール袋にバーコードが付いているわけでもない。それにバーコードなら海外だって同じことだ。

実際に自分の家から出るゴミを見てみればいい。我が家では半分以上がプラゴミだ。一応リサイクルされると聞いて分別しているがこんなインチキだらけの行政の国でどこまで本当にリサイクルされているのか疑わしい。
ペットボトルも同様だ。先日、中国は日本からのプラスチックやペットボトルのゴミの輸入を停止すると発表した。そのために年間数百万トンのプラゴミの行き場がなくなっているという。しわ寄せは東南アジアの国に集まっているがタイ政府やベトナム政府も「取り敢えず今は受け入れるが先のことはわからない」という。

プラゴミはある程度はリサイクルできても自動車やオートバイ、家電製品の中で金属と複雑に入り混じった状態ではリサイクルは難しいのだという。リサイクルできなければ永久に分解できないゴミは自然界に流れ出していく。そしてそのツケは地球上に住んでいる動植物はもとより我々人間にも深刻なダメージを与えることになる。なぜなら私達は地球上にいる動物や植物を食べて生きているのだから。

野菜をパックして売ることに何の意味があるのか。何の意味もないムダで有害なことを日本人はやっている。そしてそれを改めようともしない。もちろん流通業者も悪い。農家も農協も悪い。しかし一番手に負えないのは私たち消費者なのではないか。土で汚れた野菜は嫌だといい一度でも誰かの手に触れたものは買いたくないという消費者。野菜は土で育つのだから土が付いているのは当然だし誰かが収穫しているのだからすべての野菜は誰かが触ったものである。
くだらないことにこだわっていないで、私たち人類が少しでも長く生き延びたいのなら自分ができることからコツコツとやるべきなのではないだろうか。