聖徳太子

かつてはお札にもなっていた聖徳太子。飛鳥時代の人で天皇の子供でありながら自らは天皇にならず推古天皇の摂政として日本の政治を動かしたと言われる人である。聖徳太子は1度に10人の言葉を聞き分けたというほどの天才だったといわれているが実際のところろはよく分かっていない。凡人のボクは2つを同時にインプットすることすら大変なのでこういう天才の頭の中のことはよく分からない。

電卓は一度に一つの計算しかできない。しかしパソコンやスマホは同時にたくさんのソフトやアプリを立ち上げて作業をすることができる。マルチタスクといわれて同時並行的な処理ができるわけだ。
しかしちょっと前までのコンピュータはそうではなかった。一度に処理できるのは1つの計算だけ。しかし見た目には複数の作業を同時にこなしているように見せていた。
どういうことかというと、ひとつづつの仕事を細かい作業単位に分けてたくさんの仕事を少しずつ順番にやるような感じだ。

例えば家庭の主婦はやることがたくさんあっても細かく時間をやりくりして全部を同時進行しているように見える。朝ごはんを作りながらなかなか起きてこない子供を起こし、そのついでに洗濯機を回してから仕事に出かけていくお父さんに生ゴミ袋を持たせて見送る。ようやく起きてきた子供に朝食を食べさせながら自分のパートの準備をする。子どもたちを学校に見送ったら自分が朝食をしながらテレビのニュースや天気予報を確認して洗い物を済ませる。洗濯物を干したら着替えをしてパートに出かける。というような具合だ。
全部のことを同時に進めているようだがある瞬間にやっていることは一つだ。別々の仕事を同時にやっているように見えて実は細かいタスク(作業)を細切れにそして順番にこなすことで作業を途切れずにこなすわけだ。
コンピュータではこれを”タイムシェアリング(時間共有)システム”と呼んでいる。ちょっと前のパソコンのCPU(中央演算装置)はこういう仕組みで複数のソフトを動かしていた。だからいくつもの作業を同時にやらせようとするとパニックを起こして固まってしまう。

最近は家電量販店のパソコンコーナーに行くと”インテル・クワッドコア”なんていうPOPもよく見かける。コアが4つ、つまり4つの計算を同時にできるCPUというわけだ。だから4倍早い、というわけではないけれどシングルコアに比べれば圧倒的に処理が早い。そりゃそうだ、1つの問題を4人で解いているのと同じだからだ。ただ4人でやるには最初にチームを組んで分担を決めておかなければいけない。みんなが同時に同じことをやっても仕方がない。
そのあたりの技術に開発者は相当に苦労したらしいが今では普通の技術になっている。

1つの問題を複数人で解決するには手順の割り振りとその順番が問題だ。ある作業に関係なく単独で進められる作業もある一方で、前工程が終わっていないと着手できない作業もある。また2つの工程の両方が完了していないと着手できない場合もある。これらを上手く組み合わせて効率よく最後まで完了させるのは”生産工程管理”の手法と同じだ。
2つの作業が終わらないことには先に進めない工程があるならその2つの作業が同時に終われるように段取りを組むほうがリソースの待ち時間が少なく効率が良い。しかし一つの作業が終わった後に引き続いて次の作業を行うなら一人で順次作業をすべきだ。次の工程が前工程の結果を受けて始めるのなら一人で作業したほうが待ち時間もリソースも少なくてすむからだ。ここでいうリソースは確保すべき人数と考えても良い。

いずれにしてもなにかの業務を始めるとき、それに必要な作業にはマルチタスクが適しているのかシングルタスクで完結するのかを考えてから始める必要がある。なぜならシングルタスクなら最初に一つの命令を出せば自然に解決されるがマルチタスクにはその作業を管理するという余計な手間が増えるからである。その手間をかけてなおメリットがあるならマルチタスクにする優位性が出てくる。

聖徳太子の頭の中がどんな動きをしていたのかは知るべくもないが、普通の人間がいちどきに一つのことしか考えられないことを考えると相当に早い思考力と記憶力、判断力を持ったスーパー人間だったのではないかと思えてくる。
過去に最高金額紙幣の肖像にもなった人だ。それはやはりボクたちの想像を遥かに超える凄い人だったに違いない。