何が何でもNo.1になる

さて、前回まではお客さんの感情に刺さる方法について簡単にお話してきましたが、今回はちょっと趣向を変えてマーケティングの視点から「ポジショニング」のお話をしてみようと思います。
もう皆さんも既に御存知かとは思いますが、ちょっとだけポジショニングについての復習をしてみます。

”MBAマーケティング”なんていう本の中では主に”市場セグメンテーション”や”標的市場”、”商品”についてのポジショニングなんていう話で語られています。早い話が市場全体の中で「自分たちが有利に攻められるのはどこなのか考えましょう」ということなんですが
一般には、

 1.マーケット・リーダー:マーケットでの絶対的No.1(自動車でいえばトヨタ)
 2.フォロワー:マーケットリーダーに睨まれないようについていく(日産自動車、ホンダなど)
 3.チャレンジャー:リーダーが取りにくい戦略でちょっとでもシェアを取ろうとする
 4.ニッチャー:他のメーカーがやらない小さな部分で細々と生き残っていく

というような大雑把なくくりで語られます。
この中で自分たちの立ち位置はどこなのかを見極めて、それに沿った商品ラインナップを揃え、ちょっとでもシェアを増やしたり業界で生き残っていく方法を考えましょう、というやり方です。

でもこれではあまりにも漠然としていて、何から手を付けたらいいのやら困ってしまいますよね。そこで今日は「戦わずに勝つ」をキーワードに話を進めていきましょう。
「戦略」とは読んで字のごとく「戦(いくさ)」を「略す」と書きます。今も昔も世界のどこかで、いやビジネスの世界でも戦は絶えません。しかし戦をすれば敵も味方も多かれ少なかれ損害をこうむることになります。老子も「善く敵に勝つ者は与にせず」と言ったようにように「戦わずして勝つ」ことができればそれが最善の道なわけです。

どこの業界でも”競争”はあるわけで、今の時代にノホホンと商売して儲かっているところなんてありません。身近なところではちょっと前まで話題に上ることの多かった「牛丼戦争」(笑) 350円だ、いやうちは280円で勝負だ、などと言っているうちに終いには「198円!」なんてところも出てきて
傍から見てても「バカなことやってるなぁ」と思った人も多かったと思います。挙句の果てに人件費を削るために「ワンオペ」などというやりかたで「ブラック企業」なんて汚名を着せられたりしていましたよね。どんぐりに背比べの業界であんな消耗戦が続くわけもなく、最近では、談合でもしたのでしょうか、目立った価格競争はやめて高価格商品に切り替えたようです。

同じようで差別化をしにくい商品で競争しようとすると、考えのない経営者はすぐに価格競争に走りたがる傾向があります。何も考えなくていいですからね(笑) でも価格競争が泥沼化するのは誰にとっても損ばかりです。いい思いをするのはお客さんかもしれませんがサービスや品質の低下で、お客さんにとってもいいことばかりではないということになりかねません。

では競争はなぜ起こるのでしょう?それは簡単、ライバルがいるからです(笑) つまりライバルがいなければ競争はないわけです。じゃあどうやってライバルをなくすか?
自分の財力が相手と比べて圧倒的に大きければ、先ほどのように相手が潰れるまで価格競争をする、という方法があります。でもライバルは次から次へと現れるのであまり有効な手立てではありませんね。
そこで最近話題になっているのが「ポジショニング戦略」です。これは、自分の立ち位置を見極めて生き残りを考えるのではなく「ライバルがいない市場を自分で作り出す」方法です。

例えば掃除機。もう何十年と家電メーカーが作り続けてきて成熟しきった市場です。ライバルメーカーも固定化し、価格も安定しているので新規に参入してもメリットはあまりありません。最近ではダイソンなどが参入してきましたが、使ってみると大して性能も変わらないのでもう差別化は難しいでしょう。
それに引き換え新しい視点で切り込んだのがiRobotの「ルンバ」です。お掃除ロボット! うちにも1台あります(笑) 自分の在宅中に使うと音はウルサイししょっちゅうぶつかって来るしでウザったいのですが、外出中にセットしておけばそれなりに部屋全体を掃除してくれるので、自分で掃除機をかけるのは週に1回位になりました。
そうです、うちには普通の掃除機もあるんです。でも「ロボット掃除機」は「従来の掃除機」とは別のジャンルなんですね。つまりロボット掃除機というマーケットにはルンバしかなかったわけです。その上、国内メーカーはロボットの階段などからの転落による事故を恐れてしばらくの間ルンバを追従しませんでした。そうこうしているうちにルンバはお掃除ロボットとして競争にさらされることなく確固たる地位を築いたわけです。
布のオシメ全盛の時代に紙おむつというジャンルを一般に広めたP&Gも同じ戦略ですね。

これはルンバのように「ロボット掃除機でNo.1」でもいいですし、地域密着型であれば「小田急江ノ島線沿線でNo.1」や「茅ヶ崎駅北口駅前でNo.1」のように地域で細分化する方法、「鶏肉の丼ものではNo.1」「つけ麺では湘南台No.1」のように商品の特性と地域を組み合わせてもいいでしょう。
とにかくNo.1になれるところを見つけて、それを前面に押し出して勝負する。そうすることでライバルのいない土俵を競争しないで独り占めできるのです。

あとは先行者利益を使って自分の力を強化して参入障壁を高くすれば、まずは第一歩が完了です。
どこで、何でNo.1になるのか? それを考えているとワクワクしますね(笑)