「売ろう!」と思っているうちは、あなたは売れません

とりすの社会人生活はITシステムの開発というところからスタートしたのですが、最初は社内のシステムを作ったり運用したりしていました。でも、20代も半ばを過ぎると「せっかく作った仕組み(システム)を他の誰かに使ってもらいたい」と思いはじめて幾つかの会社で接客やルート営業、飛び込み営業、営業企画などの武者修行をしたりしました。

そんなボクは当初から勘違いをしていました。「営業マンはモノを売る」人だと。でも、売りたい!売ろう!と頑張っても全然成果が上がらない。
「何が違うんだろう?」と思っているところに上司から「気合が足りない!」「努力が足りない!」とハッパをかけられます。自分自身、何をどうしたらいいのか分からなくなっていました。

上司や先輩に相談しても「自社製品のメリットを伝えきれていないんじゃないか」とか「得意先との信頼関係が作れていないんじゃないか」というアドバイスを受けて自社製品の長所をリストアップして、一番ウケそうな部分から順に資料を作ってプレゼンテーションしたりしましたが、さっぱり効果が上がりませんでした。

こんなにいいものなのに、どうして売れないんだろう?お客さんはどうして買わないんだろう…
そんな時に、昔、中学校の英語の授業に出てきた
「馬を水辺に連れて行くことは出来るが、水を飲ませることはできない」
という例文がふと頭に浮かんだんです。
そうか、売れないのはお客さんが欲しいと思わないからだ!

さて、人が物を買う時ってどんな時なんでしょうね?
ズバリ、欲しいと思った時ではないですか?
「いや、私は衝動買いなんてしないから…」という方も塾考の末に「買おう!」と思うのは”欲しいから”ですよね? 誰だって、欲しくないものはそもそも買いません(笑)

つまり、いくらこちらが「売ろう!」と頑張っても、相手が「欲しい!」と思わなければ買わないのですから、つまりは「売れない」わけです。なんだか、アタリマエのバカみたいな話ですね(笑)
相手の立場から見ることをすっかり忘れているわけです。でも、これはほとんどのセールスマンがやっている間違いです。

では翻って、あなたが「欲しい!」と思う時ってどんな時ですか?
行列ができていると”とりあえず並んでみる”という人は少なからずいますよね。レストランで”限定20食”と言われると、好きでもない料理を注文する人も、これまた結構います。似たようなところで「あなただけが手に入れることができます」とか「あなたのようなセンスのいい方にこそお似合いです」なんてお世辞の一つでも言われれば、それこそいい気分になって買ってしまうかもしれません。あとは「ご両親もお喜びになると思いますよ」や「これさえあれば大地震が来ても心配ありません」なんていうのも最近の流行のようです。
以前にもお話しましたが、

 1.恐れや恐怖に訴える(「今やらないと大変なことになりますよ」)
 2.返報性 に訴える (何かをしてもらったらお返しをしたくなる )
 3.社会的証明に訴える (「他のみんなも持っていますよ」)
 4.希少性に訴える(これだけです、今だけです)
 5.権威のお墨付きに訴える(特許をとっていますなど)
 6.お世辞を言う

などの力を借りると「買わなきゃ」という気持ちを強くさせます。でもホントの欲求って”満ち足りた自分”や”幸せな人生を送る自分”のイメージだったりしませんか?
例えば旅行会社の店頭でこんなポスターを見たことがあるはずです。

 白いビーチの小さな島と1本の椰子の木、
 ポツンと置かれたサマーベッドと
 脇のサイドテーブルにはキンキンに冷えたカクテルグラス

これを見たあなたは、日常の忙しさからくるストレスを忘れてのんびりと寛ぐ自分を想像することでしょう。そして心から素直に「そうだ!海外旅行に行こう!」と思うわけです。
ここでセールスマンが忘れていけないのは、目的は”旅行に行く”ことではないんです。”のんびりと寛いでいる自分”なんです。
旅行会社は”旅行”を売ろうとしてはいけないんです。「3泊4日タヒチ島、20万円/名、全食事付き、添乗員同行」などというスペックを見ても「寛いだ自分のイメージ」はあまり浮かびません。日常の生活にあくせくしてストレスが溜まっている人に「南の島でのんびりと寛いでいる自分」という”夢を見せてあげる”わけです。そうすれば誰だって欲しく(買いたく)なると思いませんか?