投資で安定して儲ける方法

「先物取引」という言葉をお聞きになったことがあると思う。先物取引とは何か。先にモノを取引するということだ(笑) 何より先に取引するかといえばモノの受け渡しや代金の支払いより先に取引するということである。モノはいつでも市場にあるわけではない。先の冬も気候のせいなのか野菜が高騰した。高騰するだけならいいがまったく手に入らなくなることだってある。だから何ヶ月も先のモノの受け渡しを今の時点で取引しておく。

例えば日本にとって中東の原油は生命線だ。1日だって輸入が滞れば社会・経済に与える影響は甚大である。だから”先に買っておく”わけだ。予約みたいなものと考えてみるといい。ただ普通の予約と違うのはお金を払う時期だ。じゃあお金はいつ払うのか。「今でしょ!」というセリフがちょっと前に流行ったが残念ながら今ではない。現物を受け取るときだ。支払いを先延ばしできるのである。しかし支払う金額はその時の値段である。その時に品物が値上がっていれば予約時に想定していた金額よりもたくさん支払わなければならず、値下がっていれば払う金額は少なくなる。例えば原油、例えば大豆、例えば小麦、例えばトウモロコシ。

また先物市場で取引することによって買う側が強く(そんなに高いんなら買わない)なったり、売る側が一方的に強い(そんな値段じゃオマエにゃ売れねぇな的な持てるものが強い)という不公平が解消される。買う時に「安くしないんなら他で買うからあんたのとこでは買わない」などというある種ヤクザ的な取引を”市場”という公開された場で取引することによって防止できるわけである。同じように「売ってるのはあんただけじゃない」ということで「他から買うからいいわい」ということも成り立つ。閉鎖された取引によって一方的なムリを押し付けられないようにするということである。このあたりは最近アメリカのトランプ大統領がこだわっている”TPPを貿易の二国間協定に持ち込もう”という策にも見て取れる。1対1の取引では大国のほうが圧倒的に有利なのは過去の歴史からも明らかだ。だから先物市場がない産直の生鮮食品などはでは大手流通の言いなりになって苦しい立場に立たされている。

いや、今回はそういう話ではない。
「投資」と聞いてあなたは何を思い浮かべるだろうか。
銀行預金?株?自己投資?不動産?設備投資?ギャンブル?リスク?破産?
それぞれに投資という言葉に持っている印象は違うと思うが「不安定」とか「危険」という香りを感じる方も多いと思う。特にテレビや小説では”投資に失敗”して”莫大な借金”を抱え込んでしまうというような設定が多いものだから余計にそう思うのかも知れない。しかし投資の実際はそんなにドラマチックなものではない。投資につぎ込んだ分は悪くするとパァになってしまう可能性がないわけではないが、経営に参加しているわけでもなければそれ以上のリスクを追うことはない。いや仮に経営者であっても会社法でいう”有限責任”の立場であれば私財まで没収されてしまうことはない。ドラマなどでは身ぐるみ剥がされて路頭に迷うような場面ばかりが強調されるが、命まで取られてしまうわけではない。

もっとも安全なのは銀行にお金を預けておくことだと思われているが、今の御時世に銀行預金をしていても年利0.02%とかの利息が付くばかりで実質的にメリットはない。ボクが子供の頃には銀行の利率も10%程度あったから「1億円持ってたら一生遊んで暮らせるんだって」などというのが子供の間でも言われていたが、今では1億円を銀行に預けても年に2~3万円の利息が付くばかりで”遊んで暮らす”には程遠い。昭和は遠くなりにけり、である。もう少し利率の良いといわれる”国債”だって年利0.1%程度だ。これを経済学や財務・会計の世界では最低限得られる金利としてのベースにしている。つまり財務の世界では”タンス預金”をして利息がまったくつかないという状態は想定しない。「現金資産は最低でも国債で運用する」ことが常識だ。

では資産をもっと有利に運用するにはどうしたらいいのか、ということにみんな躍起になるわけだ。
例えば有価証券。株を買ったりする。買った株が値上がったら高値で売って利ざやを稼ぐというのが一般的な株に対するイメージだが、株は基本的にはそういうものではない。株価の乱高下に一喜一憂するイメージがマスコミでもクローズアップされるが、それは”ヤマ師”のやることである。「一山当ててボロ儲け」なんてことがそうそう起こるわけではない。
株を買うということは(資本主義の本来の趣旨とは違うが)”継続的に”資産から利益を生み出すためのものだ。持っている株の配当が高ければ利益は増えるし業績が悪くて配当がなければ利益は出ない。これもギャンブルと言えばギャンブルだがリスクはそれほど高くない。元本の株価は値上がったり値下がったりするが、株を売らない(投資をやめない)限りそこからは毎年そこそこの利益が発生する。もちろん企業に業績次第だが普通にいって株価の5~6%の配当がある。

この配当をもっと安定させるにはどうしたらいいのかを考えてみよう。
企業の業績には様々な要素が関係している。外国為替相場だったり国内の景気だったり中東情勢だったりトランプ大統領(笑)だったりする。円高になればモノを輸入している企業(例えば商社)には有利だが輸出している企業(例えば自動車会社)にとっては物が売れずにマイナス要素になる。単純に考えれば国際相場で(例えばドルに対して)円が値上がりすれば三菱商事は儲かりトヨタ自動車は厳しくなるということだ。つまり一つの要素が変動することで儲かる会社と儲からなくなる会社がある。だからトヨタの株だけを持っていると円安の時はウハウハだが円高になると株式の配当が減ってしまう。じゃあどうするのか?

トヨタと三菱の両方の株を買っておくのだ。そうすれば円相場が値上がっても値下がっても自分の持っている株からの利益は相殺しあって変動が少なくなる。もちろんトヨタの株だけを買っておけば円安の時には大儲けできるかも知れない。しかしひとたび円高になれば配当による利益はガクッと減ってしまい平均すると安定しないという結果になる。だからトータルの利益は多少減ってしまうことを覚悟で保険を掛けるわけである。これは先に書いた先物取引では普通に行われているやり方だ。先物取引の目的は適正な価格で安定的にモノを調達することであって為替相場の変動で儲けを出すことではない。だからこそ保険を掛けて安定した取引を行おうとする。

「一攫千金」という言葉がある。憧れる響きだ。ある朝、目が覚めたら莫大な財産が自分のものになっていたら誰だって悪い気はしない。しかし実際にはそんな事は起こらない。逆にドカッと損して無一文になるのは簡単だ。しかしそれこそ誰も望まない。だからこそバランスを取ってその中間をいく。莫大な儲けもない代わりに大きな損もしない安定した生活を、経営を目指していくことは自分の夢の実現にとっても一番の近道になるのではないだろうか。