誰とでも会話が弾むとても簡単な方法

話をしている相手が自分の意見に賛同してくれたら嬉しいと思いませんか?自分が考えていることを相手から先に口に出して話してくれたら話が盛り上がりませんか? 人は自分に対して反抗的な人より、同調して賛成してくれる人に好感を持つものです。

■誘導尋問って何ですか
検察官:
「あなたは30年以上にもわたって夫の父親である鈴木慶太郎さんの面倒を一人でみていた。一方、夫の妹の由紀恵さんは実の娘であるにもかかわらずほとんど実家に顔をだすこともなく慶太郎さんのことには全く関わろうともしなかった。それなのに慶太郎さんに莫大な遺産があるとわかった途端に急に態度を変え、愛想笑いを振りまきながら足げく実家を訪れてはあなたの介護の不手際をあげつらうようになっていった。それはあたかもあなたのやり方にダメ出しをするかのような非道な態度だった。そんな由紀恵さんを見ているうちにあなたは30年以上も我慢を重ねながら慶太郎さんの面倒をみてきたのは私だ、私が慶太郎さんの遺産を貰うのは当然だと思い始めたのではないですか?」
弁護士:
「異議あり!これは誘導尋問です」
裁判長:
「意義を認めます。検察官は質問を変えてください」

ドラマの中でそんな裁判風景をご覧になったことはありませんか。事実と仮定の話を組み合わせてストーリーを作って相手の感情を刺激する。相手は、自分の中ではあまり重要ではないと思っていたことでも巧妙にストーリーを聞かされることで自分の考えを変えてしまったりするわけです。これがいわゆる”誘導尋問”です。考えを誘導した上でYES・NOで答えやすくして「まぁ強いて言えば」などの発言を引き出すわけです。
誘導尋問によって客観的な証言を得にくくなるという理由から、法廷では誘導尋問の使用が禁止されていることはご存知だと思います。

■答えやすい質問をすることの意味
決めつけるような仮定のもとにストーリーを組み立てた上で相手が答えやすいような状況を作って質問をすることでこちらが意図した答えを引き出すやり方は、言葉だけではなくジェスチャーなどにも応用できます。例えば彼女に

「手を出して」

とお願いしたとしましょう。それを聞いた彼女は右か左のどちらかの手を出すかも知れません。手のひらに力を入れずに下向きにしてダラっと差し出された手を見てあなたは思います。

(サプライズのプレゼントを渡そうと思ったんだけどな)

あなたはあらためて彼女にお願いします。

「右掌を見せて」

彼女はあなたに右掌を見せるように差し出すでしょう。そこであなたは後ろ手に隠していた彼女へのプレゼントを彼女の手に乗せることが出来るわけです。
”手を出す”という漠然とした行動よりも”掌を相手に見せる”という具体的な行動を提示することでその反応も具体的になる例です。

更に彼女にお願いする時に”自分の右掌を上に向けて差し出す仕草”を彼女に見せれば、彼女は自分がやるべき行動を具体的に理解して行動に移すことができます。これがまさに”質問に答えやすくする”一つのやり方とも言えるでしょう。

■自分が言ったことは実現しようと思う
最近の国会では証言したことと事実の整合性を保つ”ために公文書を改ざんしてまで辻褄を合わせようとして問題になったりしています。
人は意図しているか否かにかかわらず、自分が口に出したことを実際に正しいことにしようとする習性があります。子供が他愛ないウソをついたときにそれを隠したり誤魔化そうとするのも同じことだと言えます。自分が話したことの整合性を保とうとするわけです。
ですから誘導尋問であれ何であれ、一度口をついて声に出したことは自然に守ろうとする行動に出るわけです。「このお財布いいですね~。欲しくなっちゃいました」と口に出してしまえばそれを言う前よりも”欲しい”という気持ちは強くなります。
つまり自分の口から発した言葉は、自分が積極的に決断したように思い込みやすくなるというわけです。そのため優秀なセールスマンは周到にストーリーを作り上げ「あなたは前からこれを欲しいと思っていたんですよ」と思い込ませてこちらの思い通りの結論を相手に言わすわけです。これでセールスの7割は終わったようなものです。あとはその思いを更に高めてもらうための条件をストーリーに乗せて小出しにすれば相手の心はもっと強化されていきます。ここで後戻りの出来る人はかなり論理的かつ客観的に自分を観察できる人か、この手口をあらかじめ知っていた人のどちらかでしょう。

■仮定の話で事を前に進めることの威力
仮に、まだ付き合って間もないディズニー好きの彼女をデートに誘うとしましょう。恐らく「一緒にデートに行ってください」と言ってもまだ付き合いの浅い彼女は(うーん、どうしようかなぁ)と思うでしょう。でもここで

もしデートするならディズニーランドとシーのどっちがいい?」

と聞けば彼女は

「どっちかって言うとシーの方がいいかな」

などと答えてくれるかも知れません。

「へー、シーがいいんだ。どうして?」
「アトラクションも何となく大人っぽいし、お酒も飲めるからかな」
「そうだね、お酒が飲めるっていうのは大人っぽい感じだよね」

などと会話が弾むきっかけを作ることも出来るわけです。その上にデートに行くことが半分既定の事実になったかのような錯覚まで与えられるのです。そこで畳み掛けるように

仮に行くとしたら、週末と平日の夜ならどっちのほうが都合がいいの?」
「平日の夜は仕事が何時になるかわからないから週末のほうがいいな」
「そっかー、平日は予定が立てにくいもんねー」

などとスケジュール調整まで話を進められたりするわけです。
まだやるかどうかも決まっていないのに何かをやることを前提にして話を進めることは相手に思い決断を迫ることなく心の中にラポール(橋頭堡)を築くことになります。相手の心の扉を少しずつ開いていくことでこちらの話を真剣に聞いてくれるようになる確率もぐっとアップします。

■コミュ障って言うけれど
相手の感情を見ないまま自分だけが一方的に話しても相手はこちらの話をほとんど聞いてくれません。なぜなら人は自分がしゃべることが大好きだからです。だから自分の話を真剣に聞いてくれる人が大好きなんです。相手の心の扉を開きたければ相手のことを知らなければなりません。相手のことを知るためには相手の話を真剣に聞くのが一番の近道です。
「人と話すことが苦手なんです」という人をよく見かけますが、まずは人と話すことを意識せずにその人に興味を持って話を聞くことから始めてみてはいかがでしょう。自分の話を一生懸命聞いてくれる人にはいくらでも話してくれます。話すネタが減ってくれば「ところであなたは?」と質問してくれますから今度はその質問に答えれば自然に会話が弾んでくるわけです。

「相手に興味を持って相手の話を聞く」だけなら誰にでも簡単にできることだと思いませんか?