日本のスポーツ界を10倍楽しむ方法

床屋の椅子に腰掛けていたら背後のテレビがお昼のワイドショーを映している。聞くとはなしに聞いているとワールドカップサッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任されたという話題らしい。自称文化人たちが出てきて今後の問題点やらワールドカップへの不安やらを述べ立てている。何が不安なのかもよくわからないがそこらのオヤジの競馬予想とあまり変わらない。「こんな直前に変えても大丈夫なのか」とか「何があったのか」などという週刊誌でも取り上げられそうな話題だ、と思ったが昼のワイドショーなんて”TV版女性週刊誌”だから至極当然のことだと思い直し、自分でもおかしくて笑ってしまった。
正直なところボクはサッカーのことはよく分からない。ルールはだいたい知っているが高校生の体育の授業以来やったこともない。

サッカーに限らず野球などでも、このテの話題や新たに日本人選手が海外に行くとなると話題になる。古いところではプロ野球の野茂やイチロー、松井もそうだったしサッカーのカズなんかもそうだったが往々にして否定的な見解を述べる人が多いのである。最近では二刀流の大谷翔平選手なども散々に言われていたようだ。
曰く「勝てるはずがない」「打てるわけがない」「大リーグを甘く見ている」等々。イチローが渡米するときなど「打席に入る時のあの生意気で挑戦的なポーズで相手ピッチャーに(ボールを)ぶつけられるに決まってる」などと言っていた元プロ野球選手もいたほどだ。
恐らく日本のプロ野球界やJリーグあたりに忖度している。日本の協会を捨てて海外に出ていくような人間は”失敗してしまえ”と思っているのだ。だからそれが態度に出てくる。
叩かれなかったのは松井秀喜選手くらいだろうか。そこには某大手新聞社の意向が働いていたのかもしれない。
出る杭は打たれる。才能あふれる人間は叩かれる。それも日本人から叩かれる。背後から味方に撃たれるようなものである。

それでも活躍してきた選手は何人もいる。野茂しかりイチローしかり大谷しかりだ。そう考えると松井は日本で叩かれなかった分、活躍に見合った評価もされなかったように思う。すなわち前評判と実際の成績のギャップが小さかったからではないかと思っている。「ダメだダメだ」と言われていた子供が以外なほど伸びて活躍するようになると周りの目が驚きを持って見るようになる。「あの子がねぇ」と言われる。家の近所の子が活躍しているように見えてくる。全くダメだと思われていたのに普通に活躍すると絶賛される。

名前は挙げないが、かつてオリンピックのスケート競技で金メダル確実と言われていた日本選手がいた。ところが本番ではいつもの調子が全く出せずに表彰台に届かなかった。マスコミの期待が大きかっただけにその後の報道の冷淡さは見ていられないほどだった。マスコミが勝手に期待したくせにそれはないでしょというほど手のひらを返すように冷遇された。
一方で全く期待もされず事前の報道には名前すら上がっていなかった選手が予想に反して大活躍して金メダルを取ったこともある。この時のマスコミの反応も手のひらを返したような対応だった。下馬評にも上がらず競技の内容すら紹介しなかったくせに一夜明けたらヒーローである。いや選手は注目されて当然だ、大活躍したのだから。でもマスコミの態度の豹変ぶりにはいつもながら誠意のなさしか感じない。きっとしばらくしたら優勝して大活躍したこともすぐに忘れ去って冷たい態度に逆戻りするんだろうなぁと思う。熱しやすく冷めやすいのだ。

そんな穿った見方ばかりしていては面白くないだろうと思われる方もいらっしゃると思う。でもこれくらいに自分でバランスを取って俯瞰で眺めたほうが野球やサッカーだけでなく、それを取り巻く人間模様まで見えてきて10倍楽しめるのだ。